第37章 その先にある未来
大会までの練習をする日々を続けていた、放課後。
バレー部の練習が終わるのを見計らったかのように震え出すスマホを覗けば慧太にぃからのメッセージが届いていて。
ー 学校の帰りに牛乳買って来て~ん?駄賃に好きな菓子ひとつ買っても良き。んじゃ、ヨ・ロ・ピ・コ! ー
・・・・・・・・・なんで私が?
家にいるなら自分が買い物行けばいいのに。
なんて心で悪態つきながらも、それを文字にして返信したら面倒な会話が続きそうだから、潔く簡単なオッケー!のスタンプだけを押して鞄にスマホを押し込む。
好きなお菓子。
こんなので丸め込まれる自分もどうかと思うけど、好きなお菓子・・・そんな魅力的な言葉にグッと拳を握ってしまう。
帰り道のスーパーならいろいろお菓子はあるけど、イチゴクリームのビスケットはないんだよなぁ。
あれを売ってるお店って言えば、嶋田マートだし。
そこに行こうと思えば少しだけ遠回りにもなっちゃうけど、ここは遠回りしてでもそれを手に入れたい!
心の中でガッツポーズを決め込み、片付けを始めている清水先輩の後を追いかけ私も手早く片付けを終わらせる。
菅「紡ちゃん、大地が帰りに肉まん奢ってくれるって!清水も!」
ボールケースを押しながら菅原先輩が声を掛けて来て、こんな時間に肉まんなんて食べたら夕飯が・・・とか、ちょっと考えながら清水先輩を見る。
清「ごめん。私やる事あるから 」
菅「あ・・・そう、なんだ?」
清「お疲れ様。城戸さん、お先に」
『あ、はい。お疲れ様でした!』
いつもの様に元気よく返して見送りながら、ふと思う。
『清水先輩のやる事があるって、なんだろう?部の事で用があるんだったら、言ってくれたら私もお手伝い出来るのに』
う~ん・・・と首を傾げながら言えば、そんな私を見た菅原先輩がぽんぽんっと私の肩に手を置いた。
菅「清水が紡ちゃんに言わないって事は、今は自分で賄える事か、もしくは本当に清水の個人的な用事なのかもじゃん?気にすることないよ、紡ちゃん。それよりさ、手が空いてるならオレに手伝ってくれてもいいんだけどな?」
ボールケースを押したり引いたりしながら笑う菅原先輩に、じゃあ一緒に押していきましょうか?なんて笑いながらボールケースの縁に手を添えて倉庫へと向かった。