第37章 その先にある未来
体育館へ入れば、ちょうど大地さんがワンドリンクするように指示を出したところで、それならちょうどいいからと繋心がみんなを集めた。
繋「今日はこれを持って来た···とは言っても、人数分用意したのはオレじゃなくて桜太だけどな」
みんなに配ってくれという素振りをしながら、繋心が私にプリントされたトーナメント表を渡し、そのままみんなに配る。
旭「これって···」
大「だな。まさにこれから始まる大会のトーナメント表だ」
手渡してすぐに目を落とす東峰先輩の表情に少しだけ翳りが出来る。
『あの、東峰先輩?なにか気になる事があるなら···』
旭「あ、いや···別に···」
『そう、ですか?なら、いいですけど』
何となく歯切れの悪い物言いが気になりながらも、次々と伸びてくる手にプリントを配り歩く。
繋「お前らが目指す場所へ行くには、これに書いてある対戦相手を倒さねぇとどうにもならない。そこで···オレなりに少し調べてみた」
調べてみたって、繋心が?!
『凄い···ちゃんとコーチみたい···』
思わず漏らした言葉に、慧太にぃがプッと吹き出す。
慧「あれでなかなか、一応コーチらしいからな」
繋「おい慧太、聞こえてっからな!一応じゃなくて、ちゃんとコーチだっつーの!」
慧「へぃへぃ、そーッスね」
桜「慧太?烏野高校の外部コーチである烏養が真面目に見解を述べようとしてるんだ。茶化して邪魔しないでちゃんと聞いてやれよ」
桜太にぃは小さくクスッと笑いながらも、慧太にぃの肩をぽんっとひとつ叩く。
桜「邪魔して悪かったね、烏養コーチ。さ、続きをどうぞ?」
繋「クソ···なんかお前らにハードル上げられた気がするぜ」
繋心はピクリと眉を寄せながら苦笑を見せる。
そんな顔をチラチラと見せながらも繋心の見解って言うのを聞きながら、清水先輩と一緒にメモを取っていく。
烏野がカラーコートに立つには、もちろん最後まで勝ち残らないといけない。
その為には、私はどんな事をして行けばいいんだろう。
部員ひとりひとりの顔を見ながら、この先どれだけ過酷な試合があっても勝ち進まなければならない大変さを思い浮かべる。
誰ひとり欠けても意味が無い。
そんな事を考えながら、ノートの端っこに “ 部員全員で勝つ! ” と赤色で書き込んだ。