第37章 その先にある未来
慧「お、そうだ潔子ちゃん。コレ、オレと桜太から差し入れ。ミーティングの時にみんなに配ってくれ」
ガサガサと大きな袋を渡されて中を覗けば、そこにはたくさんのバナナと···
『オレンジジュース!懐かしい!!』
桜「運動中の栄養補給には、この組み合わせがいいだろうと思ったから」
慧「オレらが子供の時から、なにかっていうとコレ配られたしな?」
繋「そーいや、そうだな」
昔を懐かしみながら笑い合う3人に混ざって、うんうん···とその思い出の中に私もいた事を思う。
『私も小さい頃にじっちゃに食え、飲め!って言われたよなぁ···』
懐かしさのお裾分けに呟けば、慧太にぃと繋心が同時に吹き出した。
「「 お前は今でも小さいよな! 」」
『それは身長の話しでしょうが!!私が言ってる小さいってのは、子供の頃の話!っていうより、慧太にぃが光合成でニョキニョキ伸び過ぎたから私に身長が行き渡らなかったんじゃないの?!』
慧「んなワケあるかい!」
桜「その原理で行くと、俺も?」
『桜太にぃはいいの。背が高くて優しくて···カッコイイから』
慧「またオレだけ塩対応かよ···おい桜太。お前のポーカーフェイス崩れてんぞ」
桜「うるさいよ慧太。同じ顔のハズなのに、悪いね?」
フッ···と笑って桜太にぃが言えば、慧太にぃがまた悔しがる。
『繋心、ここでいつまでも遊んでていいの?』
体育館の中から聞こえるボールの音に耳を傾けながら、繋心に顔を向ける。
『これから始まる大会、1つも黒星付いたらダメなんだよね?だから、早くビシビシ練習しないと!だよ』
繋「お前、ウチのジジィにそっくりになってきやがったか?」
『私まだそんなにしわくちゃじゃないから!』
わざと膨れて見せて。
みんなが目指すカラーコート···いつかきっと、そこに立つみんなの姿。
それを思い浮かべながら繋心の背中を押した。