第37章 その先にある未来
『清水先輩、そろそろ洗濯機が止まってるかと思うので見て来ていいですか?』
清「あ、それならいま見て来たわよ?でもまだ濯ぎだったから」
『あー···じゃあもう少ししたら行ってきます』
練習が始まって早々にみんなが汗だくになっちゃったから着替えたシャツを洗濯機に入れて来たけど、さすがに人数分の···となれば時間もかかるか···
『スクイズも作っちゃったし、ケガ人もいないから手当てもないし···』
清「大事な大会の前にケガなんてしたら私が許しませんけどね」
ふふっ···と笑いを零しながら清水先輩が体育館の中をチラリと見る。
『確かに、ですね。そんな事があったら私も清水先輩に便乗して怒りまくります!』
小さくガッツポーズを見せながら笑えば、お互いそうなった時は全力で怒りましょうと清水先輩がまた笑った。
繋「お前らなぁ···そういう不吉な予定を立てんなっての!怖いだろ!」
『繋心?!いつからいたの?!』
背後からため息混じりの声が掛けられて、清水先輩と同時に振り返る。
繋「今度の大会のトーナメント表が出てたから印刷してきた。もしかしたら先生も···とか思ったけど、な?」
トーナメント表···
『繋心!早く見せて?!』
繋「そう言うと思ったから、ほら!清水と紡の分も印刷してきたよ」
ヒラヒラと紙を泳がせながら、繋心が私達に1枚ずつ配ってくれる。
繋「マネージャーとして、自分らも欲しいだろ?」
『ありがとう繋心!···いつもお金ないとか言いながら飲み歩いてるダメコーチだと思ってたのに、ちゃんとしてて凄い!』
ポフッ!と軽く抱きつきながら言えば、繋心があのなぁ!と笑いながら叫ぶ。
繋「いくらオレでも、そこんとこはちゃんとしてんの!それからアレだ、そろそろ離れとけ。お前がジャレてんの見たら、桜太にオレが、」
桜「俺が、なに?」
繋「だから、桜太が···って、出たァ!!!」
硬直する繋心の向こう側には、いつの間にか桜太にぃがいて。
慧「紡···繋心に引っ付いたら嫁に行けない体になるって何度言ったら分かんだよ?ほら離れろっつーの!」
なぜか慧太にぃまでもいて。
繋「慧太も出たァー!!!な、なにしに来たんだお前ら!」
桜「慧太、そんなに乱暴に引っ張ったらダメだろ。紡、早く烏養から離れなさい···こんなんでも一応、コーチなんだから」