第12章 超絶?!秘密の特訓開始!
最初は昨日と同じ様にタイマーをかけながら、日向君のレシーブを桜太にぃが見ることになった。
とは言っても、今は慧太にぃがいないからスパイク打つ人手が足りない。
どうする?と影山に声をかけると、影山は、顔色ひとつ変えずに私をチラッと見た。
影「俺がスパイク打つ。だから城戸は、俺にトスあげろ」
『えっ?!マジで言ってる?』
影「他に方法ないだろ。じゃあ、俺がセッターやるから、城戸が打つか?」
『トス上げさせていただきます・・・』
そう言うと影山はフッと笑い、ボールを掴んで歩いて行った。
私の身長で、あの高さのネットからスパイク打てるわけないじゃん。
ブツブツこぼすと影山が振り向いた。
影「あぁ?!」
『何でもございませ~ん』
王様の耳は、地獄耳なんだから、全く。
声に出すと聞こえてしまうから、心の中でだけ毒気を出してみる。
私はボールを2回ほどバウンドさせ、オデコにくっつけ集中する。
今日初めて影山にトス上げるせいか、なんだか凄く緊張する。
桜太にぃのホイッスルの音に、大きく息を吐き、影山にボール出しをした。
1度影山に渡ったボールはキレイに放物線を描き、私の元に戻ってくる。
私は意を決して影山にトスを上げた。
ドカッ・・・バシッ・・・
影山が打ったスパイクを日向君が辛うじて受け止める。
あれっ、ネットまでちょっと届かない。
すると心配する事なく、桜太にぃがカバーに入り、ボールが戻ってくる。
あ、レシーブどうしよう!
思わず体の向きを変えボールを見ると、何の迷いもなく落下地点には既に影山が入り、レシーブで私にボールを繋ぐ。
さすが。
私は繋がれたボールで、また影山にトスを上げた。
あ・・・いい感じに上がったかも・・・。
そんな考えを感じ取ったのか、影山はニヤリとして、さっきより勢いよくスパイクし、そのまま日向君を吹っ飛ばしてしまった。
日「おいっ!影山!イキナリ殺人スパイクやめろよ!びっくりすんだろー!」
日向君は立ち上がりながら怒る。
すると影山は、スパイクした手のひらを握りながら日向君を見る。
日「影山聞いてんのか?!」
影「あぁ?!日向は試合中に、敵チームから、今からスゴイの打ちますよとでも言われると思ってんのか?!」
日「そんな事、言われるわけないだろ!!」