第35章 閉じた思いと、叶わぬ想い
半ば強引な参加だった月島君と山口君と別れ、家まで送るからという矢巾さんとゆっくりと歩く。
『なんだかビックリしちゃいましたね、月島君たち』
矢「あはは···そうだね···でも、烏野のメンバーって仲良しだって事は分かったよ」
『そうですか?みんないつもあんな感じですけど』
それこそ学年が違うみんなも、練習以外では枠を超えた感じでいろいろと話したりするし。
矢「多分、さっきのヤツらはさ、つーちゃんを心配しての行動だと思うし?」
『心配って?』
矢「だからさ、なんか上手く言えないけど···オレが変に誘ったりしてるんじゃないか?とか?」
『そんな事ないのに、変な月島君たち···』
今日は元々約束していて、別に矢巾さんから無理やり誘われたわけじゃないのに。
矢「それだけ愛されキャラなんじゃない?つーちゃんって」
『私はどっちかと言えば、自分で言うのも変だけど愛されキャラって言うより、いじられキャラだと思いますよ?いっつもみんな、チビとかお子様とかいうし』
月島君なんて、私のことをポチとか呼ぶし!
未だに微妙に納得出来ない呼ばれ方ではあるけど、何度訂正させようとしても···結局ポチって呼ぶし。
ちょっとだけ背が高いからって、みんな言いたい放題だもんなぁ。
小柄だって言われてる日向君とか西谷先輩だって、私に比べたら全然大きいし!
世の中って、不公平だ。
なんで家族で私だけこんなに小さいんだろう。
桜太にぃも慧太にぃも、私はそのまんまでいいんだよって言うけど、憧れるよなぁ···背が高いっていうの。
チラッと隣を歩く矢巾さんも、背が高いし。
やっぱり···牛乳を克服するしかないんだろうか···
でもなぁ···あれを克服するのは、私には大変なんだよね。
やれやれ···と息をついたと同時に、矢巾さんとは逆の方向から肩を叩かれてギョッとする。
恐る恐る振り返れば、そこにいたのは···
『ハジメ先輩?!』
岩「お前らいま帰りか?随分とのんびりメシ食ってたんだな」
既に1度帰宅したのか、ゆるっとしたフードパーカーにジーンズ姿のハジメ先輩がいて。
矢「のんびりというか···まぁ、いろいろありまして。それより岩泉さんは出掛けてたんですか?」
矢巾さんが言えば、ハジメ先輩は自分はコレの帰りだとコンビニの袋を私達に掲げて見せた。
