第35章 閉じた思いと、叶わぬ想い
岩「部の事で悩み?なら、澤村に相談するのがスジなんじゃねぇのか?」
『そう、なんですけど···いろいろ理由があって。でも矢巾さんも凄く親身になって考えてくれて。あ、それで今度、お礼を兼ねてというか、一緒に映画とか行く事になって』
別になにもやましい事なんてないし、会話の流れから矢巾さんと出掛ける事を話した。
岩「は?矢巾とか?」
『そうですよ?一緒にどこかへって約束はその時にしてましたし、約束は約束ですから』
岩「···そうかよ」
どことなく不機嫌になった気がするのは、私の気の所為かな?と思いながら廊下を歩く。
国「紡···お前はニブチンでアホでチビだから、あんまりウキウキ天然かましてっと···」
『ちょっと!なんか私酷い言われようだけど?!』
1歩後ろを歩く国見ちゃんの言葉を遮るように振り返る。
国「そのまんまだろ?な、金田一?」
金「えっ?!そこでオレに振られても···」
国「ま、アレだ。あんまりボンヤリしてると矢巾さんに頭からバリバリ食われんぞって話だよ」
矢巾さんが、頭から···バリバリ?
それは···ないんじゃない?
だって矢巾さん、いろいろと優しいし。
まぁ、ちょっと及川先輩みたいなところが気にはなるけど、本人ほどじゃないし?
初対面同様でつーちゃん呼びとか、パスタひと口食べてみ?からの、アーンとかは驚いたけど。
あれ、ちょっと待って?
なんだかよく分からないけど、ほんのちょっとだけ···心配になって来た、かも?
『あのさ国見ちゃん。矢巾さんって、及川先輩を見習ってる感じ?』
国「は?」
『だからさ、こう、なんて言うか···なんだろ···』
すぐ近くに及川先輩がいるのに、女の子に目がない!とか言えないし。
及「紡ちゃん、矢巾には気をつけなよ?チャラチャラしてて危ないんだからさ?」
ね?とキラッキラの笑顔で言われても、イマイチ説得力に欠ける言葉に曖昧に笑って返す。
岩「及川以上に危ねぇヤツはそうそういねぇだろ」
及「ちょっと岩ちゃん?!酷くない?!」
結局いつものやり取りが始まって、矢巾さん議論は終わってしまう。
一応、気を許すのは程々にってことかな?
なんて自分で納得させながら、武田先生の待つマイクロバスへと向かった。