第35章 閉じた思いと、叶わぬ想い
駅前の映画館でやってる映画って、確か青春恋愛ものだった気もするけど···矢巾さん、そういうのに興味があるのかな?
それとか出演者の誰かのファンとか?
···待って?
他のはホラー系のとか、あとはアクションに、アニメに···もしかして、アニメが見たいとか言われたら、私···ついていけるかな···?
ま、それも含めて今夜いろいろ話せばいっか。
手荷物を纏めて与えられていた控え室へと戻り、みんなと一緒に着替えを終わらせて廊下へ出ると、みんなの帰り支度を待っていたのか、見知った面々が待機していた。
『国見ちゃん···もしかして、みんなを出待ちしてたの?』
国「アホか!他の学校はとっくに帰ったぞ?あとは烏野だけだ」
『え、私達だけ?!···じゃあ急がないとだね』
及「慌てなくて平気だよ?女の子は支度に時間がかかるってオレは理解してるし?だからゆっくりで大丈夫だから」
ありがたいけど、そういう訳には行かないからと言って、ドアの中に顔を出して烏野が最後みたいだと道宮先輩に告げると、バタバタと荷物を
纏めて忘れ物チェックを済ませ全員が廊下に出る。
道「すみません、遅くなっちゃって」
及「ぜーんぜん?じゃ、行きますか···国見、金田一、マイクロまで荷物運び手伝ってあげて。まっつんとマッキーは戸締り宜しく!」
妙に張り切って指示を出す及川先輩を見ながら、私もボールケースに手を伸ばすと、横から伸びてきた手にそれを阻まれた。
岩「持ってやるから、紡は自分の手荷物だけ忘れんな」
『ハジメ先輩···でも私はここで1番新人だし、これくらいは別になんともないですよ?』
岩「そうか、1番新人か。じゃ俺はお前の先輩だから、後輩のお前は先輩の言うことを聞くのが当然だな?」
『そういうのズルい···』
岩「決まりだな。みんな先に歩き出してるぞ?新人が遅れていいのか?」
言いながらハジメ先輩も歩き出してしまい、仕方なく私も···その隣を歩く。
岩「お前···矢巾と仲良いのか?」
『まぁ···とある状況からいろいろお世話になりました』
不意に聞かれた事に、私もサラリと答える。
岩「とある状況?なんだそりゃ」
『部のこと···というか、今回のこの練習試合に参加するかどうかとかで悩んでた時に偶然会って、それで矢巾さんが話を聞いてくれてアドバイスとか』
