第35章 閉じた思いと、叶わぬ想い
菅「え?なになに?ちょっと大地と紡ちゃんで内緒話とかズルくない?!もしかしてオレだけ仲間はずれ?!」
意味なく拗ね始める菅原先輩を見て、私達は笑う。
『仲間はずれになんて、する訳ないじゃないですか』
菅原先輩の手を持ち自分の手を重ね合わせ、同じように澤村先輩の手も繋いで見せる。
『私は、私の意思でマネージャーを引き受けたんです。きっかけは確かに、大地さんの突撃!城戸家のリビング!から始まったことだけど。でも、いまの私には、やっぱりみんなが1番だから』
澤「1番···」
菅「それってマジ?」
『大マジです。だから、明日からはまた皆さんと同じ真っ黒な揃いのジャージで仲間に入れて下さいね?』
今日までの1週間は、ちょっとだけ後ろ向きになってた自分の気持ちと一緒にクローゼットの中に押し込んでた。
そして代わりに取り出した、ちょっと懐かしい感じのする物を着てた。
それもまた、今日でお終い。
菅「ね、紡ちゃん?明日からなんて言わずにさ、今日から着ちゃいなよ?はい、どうぞ?」
パサりと羽織らされるかなり大きめの菅原先輩のジャージに袖を通す。
『どう見ても大き過ぎですよ、スガさんのは。これじゃ、下になにも来てないみたいなサイズ···』
菅「アハハ···確かに。でも、それはそれで···ちょっとそそられるって言うか···イッテェ!!」
私の背後に立つ影から伸びた腕が、菅原先輩のおでこを容赦なく襲う。
慧「コ~ラ、菅原···お前はやっぱり、ちょっとシメとかねぇと、だな?···ん?」
『ちょっと慧太にぃ!暴力反対!』
澤「ま、自業自得ってやつだな」
慧「そう言う澤村も···鼻の下伸びてっけどな?」
ニヤリと笑う慧太にぃに言われ、澤村先輩がハッとして口元を隠す。
菅「なんたって大地はムッツ、」
澤「今それ言うな!」
慧「お前ら···2人共ミッチリ話し合おうか···ちょっとコッチ来い···あ、それと紡。お前はちょっと向こう側行って来い。さっきからお前と話したそうな顔したヤツが、こっちをチラチラ見てっから」
『私と?』
慧「行けば分かる。んじゃな」
澤村先輩と菅原先輩の首根っこを捕まえたまま、慧太にぃが扉から出て行く。
私と話したいって、誰だろ?
慧太にぃに言われた方を見れば、あの人が確かに···私の方を見ていた。
