第35章 閉じた思いと、叶わぬ想い
まぁ、いいや···なんて考えながら体育館へと戻れば。
『あ、あれ?』
さっきまで繰り広げられていた練習試合は終わり、合同練習が始まっていた。
慧「いつまでもサボってんじゃねぇよ、チビ助」
『サボってるとか失礼ね!』
慧「いつまでも泣きっ面晒してたらサボってんのと同じだろうが···アホ」
···バレてる。
『そう言えば桜太にぃは?』
慧「桜太ならアッチ。熱血指導なオネエサマに口説かれてるよ」
ちょいちょいっと指された方を見れば、青城女子バレー部の顧問に何やらいろいろ話しかけられてる。
『あれって、なんの話をしてるんだろうね』
時々チラッと私達の方を盗み見ては、少しウンザリした顔を覗かせている。
慧「さぁね?でもさっきは···ご職業は?!とか、ご趣味は?!とか、連絡先交換しませんか?!とか言われてたけど?」
職業に?
連絡先?!
それって···迫られてるんじゃ?!
『なんで?!なんで桜太にぃなの?!顔だけでいいんだったらここにある同じの差し出すのに!!』
慧「お前ね···言いたいことはそれだけか?」
あ···しまった···心の声が漏れちゃった。
慧「ま、ほっとけよ。あぁいうのを交わすのはオレより桜太の方が数万倍も上手だからな」
『···慧太にぃも女の人に声掛けられて交わすことなんて、あるの?』
慧「ない」
ないんじゃん!!
慧「連絡先教えろって言われたら、店の名刺渡してっからある意味営業···そしてほぼ全員オレをご指名のお客サマサマ」
そんなホストみたいな···
でも、私はちゃんと知ってる。
慧太にぃが、なんだかんだ言いながらも···誰かに側にいて欲しい時に、隣にいてくれる事を。
それは私が小さい頃からずっと変わらなくて。
今だって、桜太にぃが準夜とか当直当番の時は絶対に仕事終わったら直帰してくれてるし。
さりげなく、そういう風にしてくれてるって事が本当は私も嬉しいんだけど。
変に絡んで来たりするから素直にありがとうって、言えてないけど。
だから、昔も今も変わらず···慧太にぃも大好きなんだけどね。
もの凄い大差を付けて、桜太にぃの次に。
うん、ココ重要。
ま、それは置いといて。
『あのさ?この合同練習って、私は参加すべき?それともフォローに回るべき?』