第35章 閉じた思いと、叶わぬ想い
国「誰かとの糸がこんな風に切れても、また···誰かと繋げればいいんじゃねぇの?こんな風に、さ」
国見ちゃんが摘んだ紐の端同士を絡ませ合い、結び付ける。
国「紡。お前はもう充分すぎるくらい···苦しんで、泣いたんだろ?だったらもう、そういうの終わりにしろよ。今までの事を全部忘れろとは言わない。けどオレは、お前がずっと泣いてんのは見ちゃいらんねぇ」
国見ちゃん···
普段そんな事言わないのに、どうして急に···
国「俺はお前が泣いてるより、笑ってる方がいい。だからさ、これからはアホみたいにずっと笑ってろよ。聞いたことくらいあるだろ?ブスでも笑顔は3割増しってやつ?」
ん?んん?···ブスでも?
笑顔は3割増し?
あれ···?
『ちょっと国見ちゃん!!それって酷くない?!ブスってなに?!私のこと?!』
国「他に誰がいるんだっての」
『酷い!!せっかくちょっと国見ちゃんの言葉にジーンとしかけてたのに!もぅ、台無し!!国見ちゃんのバカ!アホ!』
手元にあったタオルを投げつけ、プイッと横を向く。
国「いつもの調子、出たみたいじゃん?」
『余計なお世話!···っぷ』
投げつけたハズのタオルを頭から被せられ、そのままぐしゃぐしゃと撫でつけられる。
『ちょっと国見ちゃん!なにすんの!』
国「そうそう、その感じがいつものお前だよ···あんましょげてっと、紡の兄ちゃんズが心配するぞ?特にあの···おかえり紡!ってハグしてくる方」
『それって、桜太にぃ···じゃなくて!その件については忘れてよ!···恥ずかしいから』
だいたいそんなの中学の時じゃん!
···ちょっと前くらいの話だけど!
国「あれにはビックリしたけどな。ま、紡ならありよりのあり?って思ったけど」
どういう意味よ···それ。
国「ま、とにかく。サッサと支度して戻らねぇと、みんなが心配すんのは同じ事だ。オレもそっちの主将に副審代わって貰ってっから、先に行くわ。んじゃな」
後ろ手にヒラヒラと手を振って、国見ちゃんが控え室から出て行ってしまう。
国見ちゃん、澤村先輩に副審代わって貰ってまで私の様子を来てくれたんだ···
でも···なんでだろ?
そう言えば桜太にぃもあの時、慧太にぃは捕まえておくから気持ちを整えておいでって言ってた。
そんなにバレバレだったのかな、私?