第12章 超絶?!秘密の特訓開始!
思考がおかしな方向になりつつある時、桜太にぃの声に現実に引き戻される。
桜「夜分恐れ入ります、烏野高校1年の城戸と申します。あ、はい、はい、いえいえこちらこそ遅くまで引き留めてすみません。あはは!そんな事は。どうぞお気遣いなく、はい、はい、それでは」
そう言って電話を終えた桜太にぃは、どこか楽しそうな顔をして私達を見た。
桜「とっても明るくて楽しいお母さんだね?お行儀悪くしたら、容赦なく外に放り出して下さいだって」
笑いながら桜太にぃが言うと、日向君ははずかしそうに« お、お母さんめ・・・ »と呟いた。
同じ様に影山の家にも連絡を入れると、電話を終えたのと同時に2人が帰り支度をした。
外に出て見送ると、2人は何度も振り返りながら、やがて見えなくなっていった。
慧「オレ達に弟がいたら、あんな感じなのかね?」
桜「そうだね」
2人の言葉を聞いて振り返る。
『はいはい、すみませんね。どうせ私は女の子ですよ』
慧「またすぐ拗ねる」
『拗ねてなんかないし!べーっだ!』
慧「コイツ~、そういうとこがお子ちゃまなんだよ!」
『お子ちゃまって言わないで!』
戸締りをしながら私達のやり取りを聞いていた桜太にぃが笑い出す。
桜「お子ちゃま2人のお兄さんは大変だなぁ」
慧「おいっ!桜太とオレは同い歳だろ!」
桜「あれぇ?そうだっけ?・・・なんて、ウソウソ」
慧「勘弁しろよ桜太」
ゴメンと笑いながら、桜太にぃは私をまっすぐ見る。
桜「紡?もし俺達に弟がいても、小さなお姫様は紡だけだから」
そう言っていつもの様に頭をポンポンっとする。
見上げると慧太にぃも、腕を組んでうなづいていた。
『は、恥ずかしい事を真顔で言わないでっ!今日は2人とも疲れたでしょ?!ホットココアにマシュマロ入れたヤツ作るから、テーブルで待ってて!』
恥ずかしくて廊下を小走りしながら2人に言った
慧「これはこれは、有り難きお言葉です、姫様?」
『やめてって言ってんでしょ!!』
もう1度言い放つと、私はそれを作りにキッチンへ入る。
抜き型で小さいハートにしたマシュマロをたくさん浮かべて乗せると、2人はちょっと笑って
桜「これは愛がいっぱいだ」
慧「溢れんばかりの、甘いヤツがな」
そう言って、ちょっとだけ嬉しそうにしながら、それを飲んでいた。