第32章 不協和音
武「今日のタイムテーブルを貰って来ましたよ」
控え室で準備していると、挨拶と打ち合わせに行っていた武田先生と桜太にぃ達が戻ってきた。
交流戦···言わば普通の練習試合ってとこなのにタイムテーブルを用意してあるとか、ちゃんとしてる。
だいたいの学校は、体育館の壁かホワイトボードに紙1枚ペラリと貼り出してあって、それに対戦表が書いてあったりするのに。
こういうの、いいかも。
今度、烏野がホストで練習試合する事があったら参考にしよう。
その時は各チームを色分けしてプリントしたら、マーカー引かずに済むし見やすいかも。
武田先生にお願いしたら···あ、それなら自分が家で作っちゃった方が早い?
でもそれだと先生が···だったら学校で一緒に作ればいいんじゃん?
うん、それなら何かの時は先生のパソコンからプリントして貰えばいいし。
その感じで行こう。
『痛っ!』
慧「コラ紡!いまの桜太の話ちゃんと聞いてたか?」
おでこに衝撃を貰い顔を上げると、ニヤつく慧太にぃが私を見下ろしていた。
『慧太にぃ、デコピンやめて。おでこ陥没する···』
攻撃された場所を押さえながら言えば、ボケっとしてるヤツが悪いと怒られてしまう。
慧「で?お前はボケっとしながら何考えてた?」
それは···と言いかけて、今は女バレの助っ人に来てるのに男バレの事は言わない方がいいかと思い直す。
『きょ···今日のお弁当が楽しみだなぁ···なんて···』
慧「···は?弁当?」
その場の空気が一瞬、凍る。
直後、笑いが起こり言葉の選択を間違った自分を呪った。
桜「紡。さっきの話だけど、もう1度簡単に言うからよく聞いて。各自、自チームの試合以外は他のチームの自分と同じポジションの人を研究する事。各チーム最初の1回めの対戦は落としてもいい。けど、2巡目からは同点、もしくはそれ以上の結果で終われるように頑張る事···分かった?」
同点かそれ以上でって。
それって2巡目以降は負けは許しません的な?
今日って1セットずつで回るみたいだから、結構試合数的にはあるよね?
何気なく道宮先輩達を見ても、不安そうな顔をしては何かを考え込んでいる様子が見える。
現状で考えても、烏野女子は県内でも結構下の方で。
他のチームは全て···県ベスト8とか、16とかそういうチームなのに。