第12章 超絶?!秘密の特訓開始!
とりあえずやってみようかと話がまとまり、それぞれが位置につく。
桜太にぃが、コートにいる日向君が映るようにビデオカメラと15分のタイマーをセットして録画ボタンを押すと、私にボールをパスしてくる。
まずは日向君の真正面に行く様にサーブを打つ。
日向君はすぐにボールに反応してレシーブするも、横に流れてしまう。
すると桜太にぃがスッと動き、流れたボールをレシーブで返してくれる。
私はそれを受け影山へと繋ぐと、そのまま慧太にぃへトスを上げ、慧太にぃが正面からスパイクする。
何度もそれを繰り返し行っているうちに、セットしたタイマーが終わりを告げる。
元々そんなに得意ではないレシーブを返す日向君の成功率は、残念ながら今のところゼロ、という結果だった。
ちょっと休憩入れようと桜太にぃは提案し、用意してくれてたジャグからそれぞれ水分補給する。
その間でも、桜太にぃと慧太にぃには録画した日向君の映像をチェックして、2人で何かを相談していた。
日「城戸さんって、キレイなトス上げるよね!」
突拍子もない日向君の言葉に、私は手にしているコップを落としそうになる。
『急にどうしたの?』
日「え?、いやぁ、さっき慧太さんにトス上げてた時、スゲーキレイなトスだなって思った。こう、なんて言うかさ、影山みたいな勢いとか、そういうのはないんだけど・・・う~ん・・・」
『トス上げるのなんて、セッターやってた事あったら、誰でも同じ感じじゃない?ね?影山?』
影山に話を振ると、まぁ、確かに。とうなづく。
影「城戸はセッターの仕事、及川さんに習っただろ。だから、何となく似てるんじゃね?」
『どういう?』
影「俺は、及川さんのを見て覚えたから」
なるほど、そういう事か。
日「なになに?」
『わかりやすく言えば、お手本にした人が同じだったって事かな?ね?』
影「まぁ、俺の方が百万倍くらい上手いけどな」
ニヤリとして影山が言う。
慧「確かに影山君のトスは正確さがハンパねぇな。さっき数回合わせただけで、ここに欲しいって所にドンピシャ!」
慧太にぃに褒められると、影山は満更でもないない顔を私に向ける。
『ちょっと!そのドヤ顔やめてよ』
桜「紡のも、ちゃんとしたトスだと思うよ?あれだけ毎日自主練を重ねて手に入れた、大事な技術だからね」