第12章 超絶?!秘密の特訓開始!
ボールをオデコにくっつけ、目を閉じて集中する。
ふぅ・・・よしっ!
慧太にぃに軽くパスを出し、戻って来るボールをトス上げする。
バスっ・・・という音と共に、反対側のコートで鈍い音が鳴る。
慧「紡、ちょっち、低いな」
『慧太にぃ、ゴメ~ン。久々すぎて鈍ってるかも?』
手元でボールを何度か高く上げてみる。
もう1回行くよ~と言ってトスを上げる。
今度はキレイに上がった。
気持ちよくスパイクを決められた慧太にぃが、クルッと私の方を向いてハイタッチしてくる。
そんな様子を、ジッと影山と日向君が見ていた。
桜「2人とも、準備はいいかな?」
その姿に気が付いた桜太にぃが声をかけると、日向君が満面の笑みでそれに答える。
桜「じゃ、何から始めようか?レシーブ練習は日向君だけでいいんだよね?影山君は・・・」
影「俺は1通りオールで出来ます。指示してくれるなら、それを練習メニューにします」
そう答える影山に、桜太にぃが少し考える素振りを見せ、うん、とうなづくと私と慧太にぃをその場に呼ぶ。
桜「とりあえず今日は、日向君がどれくらいレシーブ出来るかいろいろ試したいから、影山君はセッターのままで、慧太はそれを受けてスパイク、紡は端から日向君にサーブ打ち込んでみて?」
慧「桜太は?」
桜「俺?日向君の側でいろいろ、かな?」
慧「了~解」
桜「順番としては、紡がサーブ打つ、日向君が極力頑張ってレシーブで返す、うまく相手コートに帰ったら、紡はリベロ仕事で影山君に繋ぐ、で、慧太にトス上げてスパイク、って感じで。人数全然足りないけど、ミニゲームみたいな流れで繋げば日向君もイメージしやすいでしょ?」
桜太にぃの提案は、私から思っても少し面白そうだった。
影「あの、ひとついいですか?」
影山の発言に、その場にいる全員が耳を傾ける。
影「いま、提案があったやつ、自分も面白いと思います。でも、日向のレシーブはポンコツで、今までまともに返ったことないんですけど、その場合は・・・」
影山の発言に、日向君は確かにと言わんばかりに下を向き、代わりに桜太にぃは、あぁ、と明るく見せる。
桜「紡から、ある程度の事は聞いてるから大丈夫だよ。もし日向君がレシーブ失敗しても、出来る範囲で俺がサポートするから」
桜太にぃの言葉に日向君が再び明るい表情を見せた。