第32章 不協和音
武「皆さん、到着しましたよ。各自荷物を持って···あとは道宮さん、お願いしますね?」
道「はい!先生、運転ありがとうございました!」
道宮先輩がみんなに指示出しをして、それぞれが担当している荷物を下ろしながらマイクロバスを降りて行く。
菅「さ、紡ちゃんも降りよっか?みんなの荷物運びはオレと大地も手伝うし」
『あの、その前に聞きたいことがあるんですけど』
菅「ん~?」
『どうして私、ここの席を確保されていたんでしょう···』
別に、場所なんてどこでもいいとは思うけど。
こんなにも、ジャストな場所を確保されていたのが···気になる。
菅「だってこの席はさ、前に影山と紡ちゃんが座ってた場所じゃん?で、影山に持たれてくぅくぅ寝てたから、オレもご利益来ないかなぁ?とか···ヘヘッ」
『······』
菅「紡ちゃん···無言になるのヤメテ···」
慧「紡···お前、影山を抱き枕にしてんのか?」
『ち、違う!』
私達のやり取りを聞きつけた慧太にぃがニヤニヤしながら見下ろしてくる。
『あの時はいろいろと事情があって!···もうこの話は終わり!』
パッと手荷物を持ってマイクロのステップを降りると、ちょっと困惑した顔の道宮先輩が私を振り返った。
道「城戸さん、この人達と知り合い?」
この人達?
言われて顔を向ければ···
矢「あ、つーちゃん!」
『矢巾さん!それに国見ちゃんに金太郎も!』
国「っす」
金「城戸···その呼び方ホントやめろって」
『あはは···いいんじゃん別に、呼び慣れてるんだし。それよりどうしてここに?矢巾さん達、今日の練習これからですか?』
知った顔が揃っていることを不思議に思い聞いてみれば。
矢「オレ達、今日はオフなんだよ。女バレに体育館貸すことになって」
女バレに?
って事は、今日はあの体育館で交流戦があるって事か···
国「岩泉さんが、知ってる顔が案内した方がいいだろうからってオレ達に」
『そう···なんだ?』
国「別に深い意味はねぇぞ?」
『分かってる。ありがとう···道宮先輩、紹介しますね。青城バレー部2年の矢巾さんと、こっちは同じ中学だった国見ちゃんと金田一君です。体育館までの案内とか、荷物運びを手伝ってくれるそうです』
様子を見ていた道宮先輩に3人を紹介して、また向き直る。