第32章 不協和音
~ 国見side ~
及「国見ちゃ~ん、ちゃんとお手伝いしてるかな?及川さん心配で~す」
「···はぁ」
半ば強制的に集められたメンバーで体育館へ来れば、着いて早々に女バレの手伝いをすると言われてモップを渡された。
···なんでオレが額に汗してモップ掛けしなきゃなんだし。
だいたい、手伝いを直接頼まれた張本人はさっきから
女バレの連中と喋ってばっかで何もしてねーじゃん。
つか、心配ってなんだし。
ちゃんとやってるかどうかなんて見りゃ分かんだろ。
絡みウザ。
黙々とモップ掛けをしていれば、同じ距離感で着いて来てあれやこれやと話しかけて来る。
及「じゃ、それ終わったら体育館の入口に机とか出すの手伝ってあげて?女の子に重たい物なんて持たせられないでしょ?」
岩「及川、いま手ぇ空いてんのか?」
爽やかな笑顔を振りまく後ろから、岩泉さんが顔を出した。
及「オレ?」
岩「他にいねぇだろうが···で、ヒマなのか?って聞いてんだ」
及「ヤダなぁ、岩ちゃん。オレは女の子達と情報交換するのに忙しいんだって」
情報交換?
どうでもよさげな事ばっか喋ってたクセに。
岩「だったら大丈夫だな。お前が机出しやって来い」
及「オレが?」
岩「ゲンコツとケリ、選ばせてやる」
及「あ、えっと···な、なんか急に机運びたくなって来たかも?!」
若干青ざめたエロフェミニスト···及川さんがもの凄い勢いで駆けて行く。
岩「国見。それ俺が代わるから、お前は金田一連れて来校者の誘導頼む。荷物運びとか、控え室の案内とか」
「でもあと半分で終わるんで」
岩「だったら尚更だ。各部屋の準備は松川と花巻がやってっから、ついでに矢巾も声掛けて連れてけ···多分、そろそろ烏野あたりが到着するだろうから」
それなら岩泉さんが···と言いかけて、やめる。
「じゃあ、お願いします」
モップを渡し、金田一を呼びながら体育館を後にする。
烏野が来るから、とか言ってたけど。
多分、紡が来るから知った顔が誘導案内した方がいいとかいう理由なんだろうけど。
岩泉さんが行った方が、アイツ···喜ぶんじゃないのか?
なんて思いながらも、それはそれで、なんか腹立つ気もする。
何となくモヤっとしたまま外に出れば、ちょうどそこに1台のマイクロバスが入って来たのが見えた。