第12章 超絶?!秘密の特訓開始!
『お待たせ~!』
あえて名前を呼ばずに声をかけると、それに気付いて慧太にぃが視線をよこす。
慧「おぅ!待ってた!」
私達3人の姿を見つけると、慧太にぃはこちらに歩み寄ってきた。
日「あれ?桜太・・・さん?え?でもオレ達の方が先に来たよな?ん?でも・・・なんか、桜太さんのようで、桜太さんじゃないような???」
日向君が何やらブツブツ言っている後ろから
桜「呼んだ?」
と、桜太にぃが日向君に声をかける。
バッと日向君は振り返り、もう1度慧太にぃの方を見る。
それを何度も繰り返している光景が面白くて、ついにネタばらしをする。
『日向君、うちの兄は、双子なんだよね~。最初に会ったのが桜太にぃで、いま会ったのが慧太にぃだよ。ゴメンね?驚いたでしょ?』
双子の兄、という部分では、影山も驚いていたけど、日向君に関しては、もう全てにおいて驚きの連続だった。
日「き~。城戸さん!なんか、もう城戸さんちって、なんかいろいろスゲーな!家は城だし、カッコイイ桜太さんがお兄さんでドーンで、地下コートカッコイイし!もう1人お兄さんがドーンだし!!」
慧「あ~、紡?なんかオレ、スルッと省略?」
大興奮の日向君の話を聞いて、慧太にぃが笑う。
影「日向!お前は人様の家で騒ぐな!」
影山が日向君を一喝し、桜太にぃと慧太にぃに、スミマセン、と謝る。
桜「さ?時間は無限じゃないんだから、始めようか?」
パンっと手を叩き、桜太にぃが言ったのを合図に、影山と日向君がお願いシャッスと2人に挨拶した。
その後、2人は慧太にぃに向き合い、握手をかわし、同じ様に挨拶をする。
すぐに2人は体をほぐし始め、私も適度に体を動かした。
影山と日向君はメインで体を動かすからと、桜太にぃに入念に体をほぐすように指示され、ひと足先に準備運動が終わった私は、手持ち無沙汰になってしまった。
・・・ポーン、ポンッポンッ、ポン・・・
私の足に転がってきたボールを手に取る。
ボールが来た方を振り返ると、慧太にぃが、まるで日向君のように手をブンブンと振っていた。
慧「紡ー!手が空いてんなら、オレにトス上げてくれ!始まるまでに。ちょっとだけ。な?」
『えぇ~?別にいいけど、慧太にぃの高さに合わせられるかなぁ・・・』
そう言いながらも、久々のトスが楽しみになりトトトっと駆け寄った。