第32章 不協和音

～ 菅原side ～

なんか、変だ。

ネットの高さを女子に合わせて低くしたんだから、オレ達には断然有利のハズなのに。

思っていたほど、簡単に点が取れない。

なんでだ？

更に言えば、道宮達に点を取られるとは思ってなかったのに、既にそこも予想外の展開になってる。

昨日まで何回か桜太さんに頼まれて女子の練習の手伝いをしてたから、なんとなくだけど向こうの動きは見てるのに、それ以上に予測出来ない動きをするのは、きっと···

『···ッく···ボール上がってる！！』

ネットの向こう側で所狭しと動く紡ちゃんや。

道｢ナイスレシーブ！···トス上げるよ！！｣

普段はスパイカーとして動いてる道宮がセッターをやったりしてるからなのか？

紡ちゃんが上げたボールの落下地点に道宮が走り込み、トスの準備を···いや、待てよ？！

｢影山！！｣

道｢あっ！｣

なんちゃってツーアタックをしようとしても、オレや影山にはいろいろ丸見えなんだよね。

｢道宮、オレを騙そうったってそうはいかな···マズイ！山口、月島！！｣

影山が難なく止めたハズのボールは呆気なく紡ちゃんに拾われ、また···上がってる。

山口と月島をもし抜かれても、後ろには大地がいる。

影｢ワンチ！···俺が取ります！｣

｢オッケー！｣

あの高さでワンチとか、どんだけの打ち方だっつーの。

｢影山！｣

ライトに走り込んでくる影山を視界に捉え、トスを上げる。

また、だ···

さっきから何度か見る道宮達の立ち位置。

あれはなんだ？

こっちからスパイク打てる状態になってもブロック飛ぶ事もなく。

ただ、打たれるスパイクに備えて妙なフォーメーションを取ってる。

道宮達は桜太さんと慧太さんから、いったいどんな練習を···？

そんな事を考えながらも影山のスパイクを見送る。

どこに打てば···とオレなら躊躇っちゃうけど、影山なら！