第32章 不協和音

～ 及川side ～

｢え、明日···？｣

練習前に溝口君に呼ばれたから何かと思ったら···

溝｢まぁ、俺も監督から言われてな。なんでも明日、女子バレー部が交流会するのに、向こうの体育館だといろいろ不都合が起きたらしくて｣

｢不都合？｣

溝｢あぁ。なんでも、コートに使ってる床の一部が浮いたらしい。そんな床じゃ練習試合なんか出来ないだろうって、監督が明日1日女子バレー部に貸したらしい。ってことだから、明日は急だがオフになった｣

オフ？！

それはまぁ、嬉しいけどさ。

溝｢まぁ、アレだ。騒ぎを起こさないなら女子バレー部の交流会の見学してもいいらしいぞ？｣

｢それって、どこの学校が来るの？｣

溝｢いろんなとこ来るみたいだけど、１番近場だと烏野だって聞いてるけど｣

烏野？！

···女子バレー部、あったんだ？





｢···っていう話を溝口君からされてさ？だから明日はオフ！女バレの交流試合見たいヤツは来てもいいって言ってた｣

岩｢急にオフって言われてもな｣

だよね、オレも思ったけどさ。

練習終わりのミーティングでみんなに報告すれば、やっぱり岩ちゃんは渋い顔を見せた。

金｢なぁ、国見。それってさっき及川さんが言ってたヤツってよ、城戸が言ってたヤツじゃね？｣

国｢だな。って事は紡も来るんじゃね？手伝いがあるとか言ってたしな｣

···紡ちゃんが？

部室で着替えながら聞こえてくる会話に耳を傾ける。

国｢まぁ、オレらより矢巾さんの方が詳しいだろ。２人で飯食いながら相談されてたんだし···ですよね、矢巾さん｣

矢｢え？、あ、あぁ···うん、まぁ···｣

待って？

なんでそこで矢巾？

矢巾と紡ちゃんって、繋がりなくない？！

さり気なく、極さり気なく矢巾を見れば···なんとなく気まずそうにオレ達の方を伺いながらいそいそと着替えてる。

これは···由々しき事態？！

｢矢巾ちゃん···その辺の話、及川さんに詳しく話して貰おうかな？｣

矢｢えっ？！オレは別に、その···たまたま会って、なんか悩んでるみたいだったから、その···｣

紡ちゃんが悩んでた？

｢それって、何に対して悩んでたのかな？｣

１歩ずつ距離を詰めて矢巾に言えば、もごもごと話し出す。


矢｢烏野の、女子バレー部の助っ人を頼まれてる···とかで｣