第32章 不協和音
~ 城戸家のリビング ~
慧「で?明日のワンプレイ、メンバーは誰にすんだ?」
お風呂から出てリビングへ入ると、慧太にぃがいつものようにソファーでお酒を飲みながら桜太にぃと話していた。
桜「今ちゃんと考えてるよ。あと必要なのは紡の意見かな?」
テーブルでノートを広げて何かを書き込みながら、桜太にぃはそう言って私に視線を投げた。
『私の?』
冷蔵庫から冷やしたお水を出しながら聞けば、桜太にぃはニコニコしながら手招きをしていた。
桜「明日、烏養に出して貰うんメンバーを考えてたんだけどね。俺も何回かは彼らの練習を見てるし、このメンバーだったらとは思うけど、マネージャーとして彼らと活動してる紡の意見を参考しようかな?って」
指先でトントン、と広げたノートを叩く桜太にぃを見て、私もそのページに目を落とした。
『え···このメンバーを出して貰うの?!』
書いてある名前を見て、思わず桜太にぃを凝視する。
桜「まだ、予定は未定だよ」
『予定は未定って···だってこれ、厳しいメンバーじゃ···』
慧「どれどれオレも見てみようって···マジかコレ?」
ソファーから移動して私の隣でノートを見る慧太にぃも、その名前を見て桜太にぃを見た。
慧「影山、菅原、縁下、山口、月島、澤村に···リベロにノヤ?リベロまでつけんのか?」
桜「せっかく西谷君がいるのに、つけてもらわなきゃ勿体ないだろ?それに、このメンバーは西谷君を除いて全員ちゃんとしたスパイクを打てるし、レシーブも上がる。月島君と山口君は少しだけだけレシーブは弱いけど、今の彼女達を考えればちょうどいいバランスじゃないかな?」
桜太にぃの言う通り、確かに他のメンバーに比べたら月島君と山口君はレシーブ力には欠けてるかも知れない。
けど、それでも道宮先輩達に比べたらちゃんとレシーブは上がってるのに。
それだけじゃない。
女子側から攻撃した時にブロックされる事を想定したら、その2人や···他のメンバーだって高さがある。
月島君と山口君、それに影山がついたりしたら···目の前に立ちはだかる高い高い壁···とかいうレベルの高さじゃない。
世界的に有名な山脈以上の脅威だよ!
···確実にブロックされるじゃん。
最悪は私が飛び込めればいいけど、そしたらトスが···
『あっ!その為の全員セッター?!』