第32章 不協和音

翌日からも桜太にぃの独特な練習方法で前半はみっちり小技を教えられて、後半はまた男バレから人を借りてはまた練習···という事を繰り返した。

それは月島君と影山の組み合わせだったり、菅原先輩と西谷先輩の組み合わせだったりして、人選にどういう意味があるのかは分からなかったけど、不思議な練習内容だった。

そして今日の男バレお手伝いメンバーはと言えば···

山｢えっと···あのさ城戸さん？なんかオレ、みんなに凄い見られてる気がするんだけど、なんでだろ···｣

『あ～···ｱﾊﾊ···なんだろうね···』

練習初日の帰り、部室での先輩達とのやり取りを思い出して軽く苦笑する。

あの時、話の流れで私が山口君の名前を出したから···多分、というか絶対それが関係してるよね···

だって桜太にぃから菅原先輩と山口君を呼んで来てって言われた時、女子チームが一瞬ざわめき立ったから。

興味深々というか、私が呼びに行って戻って来たら軽く黄色い声が上がったのはついさっきの出来事で。

菅｢山口、あんまオドオドしてるとアイツらに噛まれるぞ？｣

山｢かっ！噛まれる？！｣

『スガさん！山口君を窮地に追いやるのはやめて下さい！···山口君、大丈夫だからね？先輩達は噛み付いたりしないから』

ただちょっとだけ、気になる存在であるだけで。

『それよりさ、今日はとことんブロックして欲しいんだって。桜太にぃがそれで山口君を呼んだみたいだから頑張ってね？』

山｢ブロック要員···出来るかな、オレ｣

菅｢オイオイ山口？女子チームの高さを完璧に止められなかったら男バレの試合出場なんて遥か遠いって···｣

『スガさんはこの前失敗してましたけど？辛うじてのワンチだったし』

菅｢ちょっ、紡ちゃん？！なんか最近オレの扱い慧太さん寄りじゃない？！めっちゃ塩対応！｣

慧｢おい菅原、そこでオレを巻き込むな｣

最近妙に菅原先輩と慧太にぃコンビの息ピッタリなのは気のせいだろうか···

って事は、菅原先輩は将来···慧太にぃみたいな大人に？

うわぁ···かわいそう。

っていうか、あの慧太にぃにプラスオプションとしてスキンシップ多めとか、なんかヤバイ。

慧｢紡、お前いまオレに対してスゲー失礼なこと考えてねぇ？｣

『か、考えてない！絶対！』

慌てて否定しながら山口君の後ろにそっと隠れた。