第32章 不協和音
癒しボーイって···微妙なネーミングだけど。
まぁ、山口君と話してたりすると···こう、なんか···ほっこりするって言うか。
時々、超天然発言もあるけど。
それに武田先生だって、そんなに年上だとは感じないけどなぁ。
武田先生は学校の先生で、私は生徒だからそこに関しては大人と子供···みたいな境界線はあるけど。
武田先生は桜太にぃ達とたいして年は変わらないし。
あ、それって私が年の離れた桜太にぃ達といつもいるからそう感じるだけで、普通の女子高生からしたら凄い年上···になるのかな?
もしそれが、じっちゃとかだったら大きな年の差はあるかもだけど。
わちゃわちゃと盛り上がり続ける横で着替えを済ませ、忘れ物は大丈夫かな?とか身の回りを確認する。
『お先に失礼します···お疲れ様でした』
「「 おつかれさま~!イケメンなお兄さん達によろしくね! 」」
···よろしくって。
いったいなにを??
そんな事を考えながら曖昧に笑ってその場を離れ、桜太にぃ達の待つ場所へと向かう。
待ち合わせ場所は、桜太にぃ達が繋心と話があるから、男バレの体育館の前。
既にチラホラと人影が集まっていて、その中の1人と遠目に目が合ってしまった。
菅「あっ!おーい!紡ちゃんお疲れ~っ!!」
慧「ん?···あっ!菅原待て!!」
私を見つけて一直線に走って来る菅原先輩と、それを追いかけて来る慧太にぃ···
なに、これ···怖いんだけど!
一気に近付く2人の姿に身構えていると、あっという間に慧太にぃが菅原先輩を追い越して私の所へと辿り着いた。
菅「け···慧太さん足早ぇ···今日こそ、掻っ攫おうと思ったのにぃ」
慧「オレをぶっちぎろうとか、まだまだ甘いぜ···菅原、オレの目が黒い内は紡はやらん」
『慧太にぃの目は···日頃から澱んでるけどね』
慧「紡!!」
意味の分からないやり取りに歯止めを利かせ、プイッとそっぽを向いて2人を置いてきぼりにした。
最後の最後に、なんだか精神的疲労がかさんだ1日だった。