第32章 不協和音
繋心の言葉に被せるように言えば、桜太にぃは大丈夫、ちゃんと分かってるよ···と、笑った。
桜「もちろんケガなんてさせない、女の子だしね。それから、ある程度のメンバーは俺に選抜させて欲しい」
『そうは言っても···』
普段から見ているメンバーのスパイクを想像して、やっぱり危ないんじゃ···と言ってみる。
けど。
繋「そう思うなら、次から紡はコートに入れないようにしなきゃなぁ?···ん?」
慧「だな?」
ふたりにこう言われると、あちこちの扉を塞がれたようで居心地が悪い···
道「澤村、勝負しよう。澤村達に勝てるとは思ってなんかないけど、でも···せめて、1点取れる位にならなきゃ青城女子にも申し訳ないから」
いつものにこやかな顔ではなく、真剣な顔で道宮先輩が言った。
澤「···こっちには、烏野の守護神がいても?」
少し考えるように黙り込んだ澤村先輩がフッと笑って、そんな風に返す。
西谷先輩。
1点を取るには、まず西谷先輩を攻略しないといけない。
道「例えそうだとしても、大丈夫。気持ちでは絶対に負けない。それにこっちには···菅原曰く、男バレの秘密兵器がいるし、ね?」
『秘密兵器?』
どうだ!と言わんばかりに道宮先輩が私の肩を引き寄せる。
菅「あぁっ!オレの紡ちゃんが人質に?!」
『スガさん!誤解を招くような発言禁止です』
慧「そうそう。紡は菅原のじゃねぇよなぁ、桜太?」
桜「···そうだね」
桜・慧 「「 俺たちの、だよ 」」
繋「出やがったな、シスコンブラックツインズ···」
菅「あぁっ···超えられそうもない高い高い壁が現れた···」
スッ···と、私の視界を遮る2つの背中に呆気に取られながらも、大げさなリアクションをする菅原先輩に笑ってしまう。
『道宮先輩、チャレンジするからには頑張りましょうね!その為には、これまでにデータとして記録してある繋心チームの弱い所にチクチクしましょ!』
道「うん!澤村達から1点でも取ろう!」
ノリよく両手でハイタッチを交わせば、それを見ていた繋心も1ゲームだけだからな!と桜太にぃに言葉を投げた。
男子チームとプレイさせたい桜太にぃの意図はまだ分からないけど。
それでも、少しの間だけど自分が所属するチームが···ステップアップ出来るなら、と天井を仰いだ。