第31章 ステップアップへのチャンス
何度も攻防をくり返し···
ー ピッ!ピーッ! ー
遂に音駒との練習試合が終わってしまった。
清「1回くらい、勝ちたかったわね···」
『ですね···』
3セット試合して、全て黒星。
さすがに簡単には勝たせて貰えなかったか···
繋「こりゃあ、文句なしの完敗だな」
負けたけど、繋心もなんか清々しい感じで···負けた事に悔しい!とかいう恨めしさは見えなかった。
日「もう1回!···もう1回やろう!!」
元気だなぁ、日向君は···
繋「コラコラ!気持ちは分かるが新幹線の時間があるんだよ!とっとと片付け入れ!」
日向君を捕まえた繋心が、そのまま澤村先輩に引渡し戻って来る。
繋「紡。こっちはオレらがやるから、お前もアイツらの手伝いしてやってくれ」
『わかった。じゃ、行ってくる』
繋「おぅ、頼むな」
集めていたスクイズボトルを繋心に渡し、誰のところを手伝おうかと周りを見た。
菅原先輩は夜久さんと何か話してるし。
澤村先輩も、音駒の人と話してるし。
影山は···ん?なんで研磨さんに睨み利かせてんの??
あれじゃ研磨さんが嫌な思いしちゃうじゃん!
最後の最後にやめてよね!
研磨さんを救出すべく、駆け足で近寄ってみる。
『ちょっと影や···』
うわ···なんかブツブツ言ってて怖っ!
研磨さんもそれに気付いたのかスススッと逃げてったし!
影「クソッ···なんで逃げたんだ?」
『そりゃあ、影山がひとりでブツブツ言ってたら誰だって逃げるでしょうよ···呪いの呪文かと思われたんじゃない?···怖いから』
影「は?俺別になんも言ってねーし」
『えっ?!自覚なし?!余計に怖いよ?!』
あれが無自覚とは···恐るべし、王様。
影「お前いま、王様って言っただろ」
『言ってない!思っただけだよ!ってか人の心の中を読まないで!』
地獄耳通り越してホントに怖いよ!
影「なんかムカつく···お前みたいなチビはこうしてやるっ!」
言いながら影山が抱えていたネットをバッと広げて私をグルグル巻きにして行く。
『ちょ、やめてってば!影山!!』
影「うるせー、黙れ!」
ジタバタ藻掻くも余計にネットが絡まって、あっという間にどうにも動けない状態になってしまう。
影「さて、と。じゃ、俺アッチ片付けてくっから」