第31章 ステップアップへのチャンス
~ 研磨side ~
『1番カッコよくて大好きなのは···桜太にぃです!』
クロが紡を構いに行ったあとの、突然の告白大会。
どんな流れでそうなったのか、おれはわかんないけど。
紡が名前をあげた人を、見る。
っていうか。
紡のお兄さんって2人いるみたいだけど、どっち、かな?
猫「何を騒いでるんだか分からんが、あのお嬢さんが大好きだと言う男に勝てるヤツはここにはいないだろうな」
直「でしょうね。さっき繋心からチラッと聞いた話だとかなりのハイスペックでしたからね」
ハイスペック?
猫「桜太はいま、総合病院で小児科医をしてるそうだ。プラプラしてる繋心とは、正反対だな」
カカカッと笑う監督に、コーチも苦笑いを返して向こうの様子を見てる。
ふ~ん···ドクターなんだ、紡のお兄さん。
あ···だからさっき、当直明けとか?
じゃあ、アッチの何か派手な感じの人じゃないな。
あんな派手な人が小児科医だったら、子供が泣くよ。
猫「とりあえず、黒尾を連れ戻さないと話が進まないな···夜久、お前ちょっと行って黒尾を引っ張って来い」
夜「え?あ、はい」
···適役。
監督に言われてやっくんがクロを連れ戻し、ニヤニヤしながらクロがやっくんになんか言いながら歩いて来る。
やっくんは、なんか···やたら照れてるけど、なに?
どんな話をしていたのか気になって、クロとやっくんを交互に見ると、クロがまたやっくんをつついた。
黒「あのお嬢ちゃんが、やっくんの事をカッコイイって言ってたんだよ。良かったなぁ、やっくん?」
夜「だから、うるさいっての!」
やっくんがカッコイイ?
黒「絶対やっくんよりオレの方がイケてると思うんだけどなぁ。世の中わかんねぇな?カッコイイやっくん?」
夜「頼むから、もうやめてくれ」
さっきのお兄さんとやっくんを頭に浮かべて、何気なく共通点を探してみる。
···ある、かな?
向こうは大人で、やっくんはまだ高校生で。
共通点あるとしたら、優しい···とか?
そんくらいしか、わかんないな。
でも優しい人が好きだとかカッコイイとかなら、烏野の主将だって紡に過保護なくらい優しいんじゃない?
あとあのエーススパイカーとか。
紡と話してる時の顔が、バレーやってる時と全然違って優しい目をしてる。
みんな、紡が大好きなんだな。