第31章 ステップアップへのチャンス
『その人は···ズ、ズバリ!桜太にぃです!』
「「 えぇっ?! 」」
菅「桜太さん?!」
澤「あぁまぁ···桜太さんには誰にも勝てないな」
黒「ハハッ、お嬢ちゃんにはやられたな」
驚く人、呆気に取られる人の輪の中で、私は胸を張って当たり前です!と続けた。
『だって···桜太にぃは優しいし、カッコイイし!小さい時は本気で桜太にぃと結婚する!って思ってましたから』
あれ···じゃあ私は、じっちゃとも結婚するとか言ってたから···それはそれでヤバイ?
繋「紡···それはマジか?」
『そうですよ?今だって1番、大好きだもん』
笑いを堪える仕草を見せながら聞いてくる繋心に、堂々と宣言を重ねる。
慧「だってよ、桜太。良かったなぁ、相思相愛でよ」
え。
慧太にぃの、声?!
予期せぬ声に振り返れば、体育館の入口に顔を半分片手で覆った桜太にぃと、あからさまに肩を揺らす慧太にぃが立っていた。
『いつからいたの?!っていうから、どうしているの?!帰ったんじゃなかったの?!』
矢継ぎ早に言えば、慧太にぃが追加の氷が入った袋を突き出して来た。
慧「繋心が潔子ちゃんに氷足りねぇとか言ってたから、オレと桜太で買いに出てたんだよ。そしたらお前らが面白そうな話してっから、見てた」
見ないでよ!!
繋「桜太···まさかここでお前の名前が上がるとは予想外だっただろ?な?」
桜「うるさいよ烏養···後で話し合うか?」
繋「いや、そりゃ遠慮しとくわ」
は···恥ずかしい!!
桜太にぃはホントに好きだけど!
いまのを一部始終見られてたと思うと恥ずかし過ぎるよ!!
慧「さて、面白いモンも見れたし。帰るか桜太、当直明けだろ?寝た方がいいし、な?ま、もっとも···嬉しさのあまり寝れそうもないだろうケドよ?···痛ッ」
桜「慧太は少し、黙まってろ」
なんか···居心地があまりよくないですよ、はい。
チラッと影山を見れば、声に出さずに私に向けて···バーカ、と口を動かした。
悔しいけど言い返せない自分が悔しい。
そんな私達を見て、武田先生がニコニコとしながら···
武「ご兄妹、仲がいいですねぇ」
···と、のんびりとした口調で言った。