第31章 ステップアップへのチャンス
『カ···ッコイイ、ですよ、夜久さんは。けど、それはリベロとしてで!別にそんなの普通じゃないですか!』
凄いプレーをしてるだとか、凄いスパイク打つなぁとか、あのセッター凄い!だとか。
そんなの誰だって思うし!
黒「おやおやおや~?あっさり認めてくれちゃって···そうかそうか、やっくんはそんなにカッコイイのかぁ···うんうん、いいねぇ、女子だねぇ?そのお嬢ちゃんのカッコイイ人の中に、もちろんオレも入ってるよね?」
『だ~か~ら!クロさん変な方向に話を進めないで下さい!!みんなが変に思ったらどうするん···ムガッ』
月島君?!
月「悪いケド、まだ1セット目が終わっただけで試合中。だから···ポチにちょっかい出すの、やめて貰えます?」
黒「あらら?騎士のお出ましか?」
月島君が割って入って来て、更におかしな方向へと話が進む。
月「イマドキの主将って、みんなバカなの?」
菅「おい月島!それは大地に失礼だろ!」
澤「スガ···さり気なく俺を巻き込むな」
黒「ここは誰がいちばんカッコイイのかお嬢ちゃんに選んで貰おうか」
あぁもう···何がなんだか···
突然のクロさんのおかしな発言に、周りのみんなが興味津々に視線を集めて来る。
これって···だよね。
誰かの名前を出さないと、逃げ道がない···ってヤツだよね?!
内容が内容なだけに、やたらな名前を出す事は出来ない。
かと言って、適当に言うのもイヤだし。
どうしようかと思いながら、くるりと周りを見回してみる。
···嶋田さんなんて、ニコニコしながら大きく手まで振っている。
ないない、ないから!
あ···でも?
そうか!その手があったか!!
この人なら、誰も違和感を感じることもなくて、疑われもしない···か、な?
『分かりました。覚悟を決めて私が首を切らないとこの話題が終わらないなら、白状します!』
菅「紡ちゃん···切るのは首じゃなくて、腹ね···」
菅原先輩の小さなツッコミも気にせず、私はクロさんに向かって顔を上げた。
黒「ちなみに、やっくんは除外ね?」
『分かってます、夜久さんではありません。皆さんの知っている中に、一番カッコよくて大好きな人はいます』
澤「そ、その人は?!」
なんで澤村先輩まで前のめりになって聞きたがるんだろう。
『その人は···』