第31章 ステップアップへのチャンス
クロさんが急に声を掛けたからビックリしたけど、まさか擦りむいてるのを見られてたなんて。
しかも、これ。
お風呂入ったら絶対痛いヤツだ···前にもあったけど。
あの時は縁下先輩が手当してくれて、お風呂入る時は押さえて入るといいよ~って教えてくれたけど。
またあの方法にお世話になるとは。
絶対、慧太にぃより先にお風呂入らなきゃ!
じゃないと、また意地悪して傷に染みるような怪しげなふわふわの泡の入浴剤入れられる···
『よし、手当てして貰ったし!大地さん、次はボール上げればいいんですよね?』
澤「ちょっと待ちなさい···紡、サポーターはどうした?」
···ですよねぇ。
だってまさか使う事があるとか考えてなかったから、合宿所に置いて来ちゃったんだもん。
『あ~···えへへ···』
澤「えへへ、じゃないよ。ちゃんとサポーターしないからこういう事になるんでしょうが。ないなら、参加は認めません」
『どうしても?』
澤「···ダメなものはダメだ」
···ケチ。
澤「心の声が漏れてるぞ」
声に出してないのに聞こえるとか、超地獄耳。
澤「あのね···そんな顔してもダメだって。それに倒れたり、ケガしてしばらくコート入れない方がイヤでしょ?その辺は紡が1番よーーーーーく、分かってると思うけど」
うぅ···それを言われたら返す言葉もございません。
『分かりました···おとなしく繋心の雑用係とかしま···ブッ···え、サポーター?』
これ以上は諦めて、仕方なくコートから出る事を言ってる最中にどこからともなくサポーターが飛んで来る。
『っていうか投げたの誰?!』
影「特別枠で貸してやる」
影山···?ってことは、これは影山が使ってるサポーター?
『う、うわ!くさっ?!』
思わずサポーターが当たった顔をパシパシ振り払って見せる。
影「臭くねーし!まだ使ってないヤツだし!!!いいから使え!」
ビシッと指さされて言われて、まぁ、ありがとう···と言いながらもその場でシューズを脱いで足を通してみる。
···けど。
私の予想通り、膝まで引き上げて手を離すとスルリと下がって行った。
影山···サイズ大き過ぎて使えないよ···
澤「ま、そうなるだろうな。どう見ても影山と紡じゃ体格差があり過ぎる」
影「お前、ちっさ···」