第31章 ステップアップへのチャンス
~ 夜久side ~
山「夜久さん!これメチャクチャうめぇっす!」
「うるせぇな山本、黙って食えよ!···あ、すんません」
烏野の美人マネからどうぞ?と配られたお茶を受け取りながら、ギャーギャーとうるさい山本に一喝する。
そういや研磨はちゃんと食べたのか?
アイツ目を離すと、すぐスマホいじり始めるからなぁ。
···って、何やってんだアレ!!
研磨を探して視線を動かせば、部屋の隅でスマホいじりをする研磨に甲斐甲斐しく食わせる烏野の···城戸さんの姿が目に入る。
おいおい···子供じゃないんだから自分で食えよ研磨。
全くしょうがねぇなと歩み寄れば、食べ終わった様子の研磨が、今度は逆に城戸さんに食べさせようと手を伸ばす。
おーい!さすがにそれはダメなやつ!
クロも研磨野放しにしてなにして···あ···なるほど。
あっちはあっちで···そういう事か。
クロも面白そうなネタ見つけるとすぐ構い出すからな。
仕方ない、ここはオレが何とかするか···
研磨が持つ唐揚げを取り上げ口に入れ、いい加減にしとけと言えば、研磨には研磨の言い分があって。
「城戸さん、これからなの?」
『あ、はい。でも私は選手じゃないから後回しで大丈夫ですから』
そうは言っても、準備だって芝山とふたりでだったし。
恐らく片付けも···
「そういう事なら、仕方ないな。はい、これ」
散々研磨が世話になったんだ。
オレがこれくらいしたって平気だろ。
別に何もやましい事はねぇし?
『えっ、あの、夜久さん?!』
研「紡、これも」
『研磨さん?!』
オレ達から次々に差し出される食い物を見て慌て出す城戸さんが、チラチラと周りを気にし始めた。
黒「や~っくん?ナニ楽しそうな事してんの?あ、食べさせっこ?んじゃ、オレも···」
研磨の皿からクロがひとつ取って城戸さんへ向ける。
あわあわとする城戸さんが···なんだかちっこい動物みたいで笑いが漏れた。
さぁ、誰のから食う?
そんな事を考えて笑っていると、烏野のコーチが城戸さんを呼んで···すぐにその時間は終わりを告げた。