第31章 ステップアップへのチャンス
~澤村side ~
「全員揃ったな!全員サーブ練から始める。西谷と紡は反対側に入ってレシーブな」
『はい!頑張ります!』
あらら···部員より気合い入っちゃって、誰より元気な返事するとか。
「ちなみに、西谷に拾われたら仕方ないとして···紡に拾われたヤツはペナルティあるからな?」
『ちょっと大地さん?なんかそれ納得行かないんですけど!その言い方だと、私が拾えないのが普通みたいじゃないですか』
「そういう訳じゃないけど···ほら、音駒がいる手前、俺達が簡単にレシーブされると、ね?」
ただでさえレシーブ力がない事がバレてるってのに、更に紡に拾われたとなっちゃ格好つかないんだって。
特に···あの主将の前では。
さっきはあからさまな挑発みたいのして来たし、ここはやっぱり俺も烏野の主将として···あ、いや、そこはとりあえずいいや。
とにかく、今はこの後の試合の事を考えて···
「よし、じゃあ始めるぞ」
『絶対全部拾う!···影山の殺人サーブ来ーい!王様来ーい!』
影「なっ···城戸てめぇ!泣かす!ぜってぇ泣かす!!今からお前を狙うからな!!」
「紡は影山を煽るな!!」
まったく···この2人はいつもいつも···
繋「お~!紡、やったれ!お前に拾われたヤツがペナルティあるなら、オレはお前がレシーブした分だけ褒美をやろう···1レシーブ事に嶋田に例の菓子を奢らせる」
『繋心それ本当?!···死ぬ気で、拾う』
嶋「こら繋心!何だかよく分からん事にオレを巻き込むな!でも、紡ちゃんファイト~!」
紡、どんだけあのビスケット好きなんだよ。
···今度、俺も買ってみるか。
いや、アレだぞ!
違うぞ、別に変な下心とかじゃないぞ?!
ただ単に、どんな味かなぁ···とか、そんな事だぞ?!
菅「大地···どうでもいいけど、怪しげな思考がダダ漏れしてるぞ?」
「えっ?」
菅「鼻の下伸びすぎ。ニヤケ過ぎ。ついでにその顔マジヤバい」
「お前が言うな!」
マジか···俺そんなに顔に出てた?
違うよな?スガがからかってるだけだよな?
自制心を保つように紡を見れば···あ、あれ?
なんかちょっと···引かれてる?!
パシッと自分の顔を叩き、平常心を取り戻す。
俺こそ、気合い入れとかないとヤバいな。
よし、俺も本気で行くか!