第31章 ステップアップへのチャンス
『あ、あの研磨さん?!私は大丈夫だから普通に休憩してて下さい!』
予測不能な研磨さんの行動にたじろぎながら言えば、もういっぱい休んだからと笑っている。
いや···笑ってる場合じゃないんですって!
研「はい、ここ座って?···唐揚げ、好き?」
『あ、はい好きです、じゃなくてですね!いや、ホントお気になさらず···って、け、研磨さんっ?!』
じたばたとしても目の前に唐揚げを差し出され、既に逃げ道はなく···
研「はい」
これって、食べなないと失礼になる、かな?
武田先生がすっごーくお願いして東京から来て貰ってる学校のメンバーだし。
どうしようとか、悩んでる場合じゃないよね···
いよいよ覚悟して···と思ったら、目の前の唐揚げがパッと消えた。
見上げれば、そこにはモグモグと口を動かす夜久さんの姿。
食べた?
夜「研磨、あんま女の子を困らせんな?」
た、助かった!
研「紡···困ってたの?」
夜「困るだろ、こんな人がいっぱいのトコでそんなんされたら、な?」
『あはは···』
肯定も否定も出来ないことに、いま困ってます···
黒「そうそう。さすがにお嬢ちゃんでも、人前でア~ンとかされたら恥ずかしいよな?」
『あの、クロさん?さすがに私でも、ってどういう意味ですか?』
裏に意味が含まれているような言葉に問いかけると、クロさんはニッと笑いを返すだけだった。
研「でも紡、まだ食べてないって···だから···」
夜「あぁ、なるほどなぁ。んじゃ、城戸さん、···はい、今のやつオレが食べちゃったから」
黒「あ~、じゃオレもオレも~」
研「クロ、おれが最初に···」
なに、これ。
目の前には、それぞれが差し出す唐揚げ。
更に言えば、クロさんは指でつまんで早く食べろ~っと笑っている。
これって研磨さんの時より···レベルアップしてない??
繋「おーい、紡いるか?あ、いたいた···って、お前ら何やってんだ?」
音駒軍に囲まれる私を見て、繋心が首を傾げた。
『繋心!』
繋「慧太から預かった。さっき渡すの忘れたんだとよ」
渡された袋を覗けば、フルーツゼリーが2つ入ってるのが見えた。
繋「清水にも1個渡せって言ってたぞ。女子限定の差し入れなんだと」
助かった···慧太にぃ、ナイスアシスト!