第31章 ステップアップへのチャンス
桜「始まって少ししてからだけど、それがどうかした?」
『夜久さんの···音駒のリベロの動き、見た?』
ダイレクトに聞けば、あぁそれなら見たよと桜太にぃが笑う。
桜「レシーブの上手い音駒の中でのリベロ、流石だなって。烏野の西谷君が本能で動くタイプだとしたら、向こうは周りの状況を早い段階で読んで動くタイプかな」
状況判断が早い···だから、東峰先輩のスパイクを初見で手に当てる事が出来たのかな。
慧「そんなのは紡の方が近くで見てたんだから、分かってんだろ」
『でもね!夜久さんは東峰先輩の最初のスパイクを、取れはしなかったけど手に当てた。それってやっぱり···』
桜「紡。言いたいことは分かるけど、それは紡が判断する事じゃないよ。ゲームメイクをする影山君や、チームの要の澤村君の仕事だ」
『分かってる···けど』
影山と日向君のコンピプレイも、音駒のブロッカーに止められた。
東峰先輩のスパイクだって、最後の方は夜久さんがレシーブしてた。
練習試合とはいえ、一度も勝てないとか···それはこれからの烏野が···
慧「あせんなよ、紡。気持ちは分かるが、こっから先を読みきれないようじゃ烏野の未来はない。そこんとこ、アイツらだって分かってんだろ。それにあんなナリしてっけど、繋心だってついてんだ」
桜「そうだね。烏養だってちゃんとコーチしてると思うよ?時々、怪しげな指示だしてはいたけど」
···あぁ、さっきのあれの事かな。
力でねじ伏せろ!とか言う感じの。
桜「烏養監督とは違う教えだけど、あれはあれで烏養らしいと言うか」
慧「そうそう、アホな繋心の考えそうなこった。悪の帝王ここに参上!みてぇな?」
桜「慧太はいつでもヒーローだけどね」
慧「おぅよ!オレサマは昔からヒーローだからな!」
···誰か、この2人の会話を止めて下さい。
特に、慧太にぃを地中に沈めて下さい。
繋「誰が悪の帝王だ、おい」
「「 お前だろ 」」
せっかく会話が終わったと思ったら、悪の帝王来ちゃった?!
繋「桜太と慧太、お前らにちょっと話がある。紡、お前はそろそろ向こうに戻れ。清水が飢えた狼に囲まれてる」
『清水先輩が?!それは大変だ···』
繋心が何を話すのかは気になるけど、私は自分の仕事をしなければと足早にその場を立ち去った。