第10章 烏野高校男子バレー部
寝ながら歩くとか、器用なヤツめ。
そう思い横目に見ると、今度は城戸がチラチラとオレを見ては、何か言いたそうな顔をしながらも、また歩き出す。
そんな事を繰り返しているうちに、オレん家と城戸の家の方に分かれる曲がり角までもう少しの所に来ていた。
あれ?そう言えば確か・・・
オレはここ数日この道を通る度に、通り沿いの防犯灯が何個か切れているのを思い出した。
ただでさえ薄暗いのに、城戸を1人で歩かせるのは危ねぇんじゃ?
そう思ったところに、不意に城戸から声をかけられた。
『じゃ、影山、また明日ね』
影「あぁ?・・・いや、家まで送る」
そう言いながら振り返ると、既に城戸は角を曲がるところだった。
また明日ね、じゃねぇよ。
送るっつってんだろうが!
オレはすぐに城戸の後ろを追いかけた。
ま、後ろを歩いていれば、もし何かあってもすぐに何とかなるだろ。
そう考え歩いていると、急に城戸の様子が明らかにおかしい。
歩いていると思ったら、急に立ち止まる。
そうかと思えば、また歩き出す。
アイツまさか、寝ながら歩いてんじゃねぇだろうな?!
オレが歩幅を広めると、なぜか城戸が早足になる。
何やってんだ城戸は。
もう殆ど2人の間に距離がなくなるという頃、城戸は急に振り返りながらオレの名前を叫んだ。
と、同時に真後ろに追いついていたオレと衝突する。
影「っと」
一瞬驚いたが、城戸を見ると、どういう訳か下を向いてギュッと目を閉じている。
影「なんだよ」
呼ばれた事に返事をすると、城戸は肩をビクつかせながら、ゆっくり顔をあげた。
そうかと思えば、急にその場にへたり込む。
何だ何だ、どうしたんだ?
城戸の様子を見るべく、オレはしゃがんで顔を覗き込む。
すると、カタカタと震える手でオレの袖口を掴むと、城戸は変な人が着いてきてると思ったと呟いた。
はぁ?!
おいっ?!
何でオレが変人扱いされるんだよ?!
驚きと戸惑いとがいろいろ混ざって、とりあえずオレは城戸の頭をガシッと掴んでみた。
その事で城戸が誤ってきたので軽く許す。
とりあえず城戸が落ち着いたようだから、手を差し出し立ち上がらせる。
影「ったく、家まで送るって言っただろ。ちゃんと人の話聞けよ」
そう言うと城戸は、そんなの聞いてないと漏らす。
影「あ?」