第30章 ネコとカラスの対決と···
~黒尾side~
試合始まるまでは、烏野は面白いヤツらがいるなとか思ってたが。
あの食えそうにない主将や、構えば構うほど味が出るお嬢ちゃんとか、な。
だが、いざゲームが始まると···烏野、なかなかのモノを見せてくれる。
猫「とんでもねぇな」
ー ピーッ ー
このタイミングでタイム要求か?
まぁ、この現状の流れを見てりゃ、それもそうか。
ちっとばかり、分が悪そうな流れ出し?
猫「リベロもスパイカーも、いいのがいるな。中でも1番とんでもねぇのはセッターだ。あれはバケモンだな···スパイカーの最高打点への最速トス、針の穴を通すコントロールだ。まぁ、天才はしょうがない」
確かに監督が言う通り、いちばん最初に見せられた9番と10番の連携プレー。
あの時セッターは、速攻をする為に離れた場所からの早いトスで繋げていた。
猫「が、天才がひとり混じった所で、それだけじゃ勝てやしないのさ」
監督が言いながら研磨にチラリと視線を送ると、研磨はサラリとその視線を交わし、表情を隠す。
はは~ん、研磨の洞察力を使えって言いたいのか?
研「翔陽が攻撃の軸なら、翔陽を止めちゃえばいいよ」
山「ショーヨー?」
「あの素ばしっこい10番」
超絶人見知りの研磨が初めて会うようなヤツに名前呼びするとか、いったいあの10番には驚かされる。
猫「あの9番と10番は言わば、鬼と金棒。まずは鬼から金棒を奪う」
研「翔陽の動く範囲を狭くしちゃえばいいよ。見た感じ翔陽は、ただ単にブロックのいない所に突っ込んで行くんだ。だからブロックを片側に寄せれば反対側に動く···後はひたすら追っかける」
犬「はいっス!」
研「確かにあんな攻撃、最初に見た時は誰でもびっくりするんだと思う。でも、最初クリア出来そうにないゲームでも、繰り返すうちに···慣れるんだよ」
···コレが今のオレらの“ 脳 ”
研磨の観察眼は、驚くほど的確で···正確な情報源。
しかしそれは、去年までは小煩い上級生のせいで100%の発揮は出来なかった。
でも今のメンバーは、学年関係なく研磨の観察眼と分析を信じてる。
だからそれぞれが必死に、繋ぐ。
···脳が正常に働く為に。