第30章 ネコとカラスの対決と···
音駒がタイムを取ったあとも、烏野は特に変わった感じはなく。
影山が日向君を使った速攻を何度か決めて、音駒も烏野も順に点を取っている状況だ。
でも、音駒が最初と少しだけ違うのは。
ブロックを片側に寄せたフォーメーション。
そして。
音駒のミドルブロッカーが執拗に日向君を追いかけ続けている事。
これだけを見れば、日向君がオトリではなく···烏野の得点源と思われているのかも知れないと考えてもいいだろうけど。
も
でも、東峰先輩や田中先輩もきちんと得点に絡んでいるのも音駒は分かってるし、そこに対しても対策を取っている。
本当はもっとジックリ見てデータを取りたかったけど、副審の位置にいるとそうもいかないし。
当たり前だけと、審判員として両方のチームを平等に正確なジャッジをしなければならないから気は抜けない。
西「っしゃ!!」
影「オーライ!!」
音駒からのサーブを西野先輩が難なくレシーブして、そのボールは大きな孤を描いて影山の位置に送られる。
何度見ても、西野先輩のレシーブ···上手い。
影山がまた日向君にトスを流し、日向君が速攻···?!
犬「ワンチ!!」
指先で、触った?!
夜「任せろ!」
大きく流れたボールを夜久さんがしなやかにレシーブする。
そのボールはそのまま研磨さんの所に届き、音駒のコートでスパイカー達がバタバタと動き出した。
誰が打つ?!
研磨さんは誰にトスを?!
ボールの位置を確認してチラリとコートを一瞬見て···研磨さんがトスを···あっ!!
ツー···アタック···?
いま、研磨さんはコートのメンバーを一瞬見てた。
なのに、その中の誰も使う事なく自分で?!
誰もがスパイクに備えていた烏野は、そのツーアタックを処理する事が出来なかった。
それは、西谷先輩であっても···間に合わなかった。
ー ピッ! ー
武「ツーアタック···」
それはほんの一瞬の出来事で、だけどインパクトは強くて。
まさかツーアタックが来るとは思ってなかった私も、動揺してしまった。
普通に考えれば、ツーアタックだって来ない筈はない。
でも、自分がやった事ないから···そういうイメージまで思考が到達しなかったんだ···