第30章 ネコとカラスの対決と···
~菅原side~
旭のスパイクが決まって、烏野に点が入る。
日向も緊張してないし、ブランクあった旭も、今日は大丈夫そうだ。
西「頼むぜ!」
ターンが終わって西谷がコートが出てくるのを見て、西谷のスクイズを手に持った。
「おつかれ!」
西「アザッス···向こうのリベロ、ヤバイっすね。旭さんのスパイク、初めて見るのに手に当てました」
「え?」
さっきの旭のスパイクは、それは確かにリベロの手には当たってたけど、拾われた訳じゃない。
なのに西谷は、向こうのリベロを警戒?とまでは行かなくても意識してるのか。
「西谷、」
ー ピッ! ー
日「すみませーんっ!」
西「すみません、コレお願いします!···ドンマイドンマーイ!」
試合が終わってからでも、西谷と話すか。
武「西谷君は、すぐ交代するんですねぇ」
「あ、はい。守備専門のリベロは何回でもコートを出入り出来ます。うちはミドルブロッカーの日向と月島が後衛にまわり、サーブを打って1ラリー終わったところで西谷と交代します」
武「なるほど···」
オレが説明すると、武田先生はメモを取りながらコートに目を移す。
今年から急にバレー部の顧問になって、ルールどころかポジションの名前だって分からなかった先生は、時々こうやってマメにメモを取りながら勉強してくれている。
顧問になったからと言って、そこにいるだけの人とは違い···少しでも一生懸命に理解しようとしてくれる所が尊敬出来る。
田「次はオレだァー!ふんっ!!」
···田中はホント、叫ばないと動けないみたいだな。
あれじゃ、また紡ちゃんにムダな体力使うな!って言われても仕方ないな。
コート内で声を出すのは周りとのコミュニケーションにはなるけど、田中の場合は威嚇そのものだよ。
こっそり苦笑しながらゲームの流れを見る。
テンポよく···というか、特に大きな変化もなくゲームが進み、音駒からのスパイクを西谷がレシーブして、影山に繋がり、日向との連携が決まる。
日向をオトリにした旭のスパイクだって、ちゃんと得点へと繋がってる。
コートの外から見てると、冷静に一人ひとりのプレーを見ることが出来る。
何だかこの試合、目が離せない流れで進んでる。
コートの外のオレが出来ること。
それはみんなの弱点を見つけて、課題提供をする事だ。