第30章 ネコとカラスの対決と···
澤「正直言って俺達は顔合わせたばっかで、デコボコで、チグハグで···しかも今日がこのメンツで初試合だ。音駒と言う未知のチーム相手に、どんな壁にブチ当たるか分からない。でも、壁にブチ当たった時は、それを超えるチャンスだ」
「「 ッス!! 」」
とうとう始まるんだ。
私も、ちゃんと気合い入れてジャッジに集中しなきゃ。
黒「オレ達は血液だ。滞りなく流れろ、酸素を回せ。脳が正常に働くために!行くぞ!!」
「「 オゥッ!! 」」
···なんか、クロさんが凄いこと言ってる気がするけど。
音駒って、いつもあんな感じなのかな?
研「クロ···今のやめない?なんか恥ずかしい···」
山「いいじゃねぇか!雰囲気、雰囲気!」
海「自分らへの自己暗示みたいなもんだ」
黒「···と、いうコトで」
···いつも、みたいだね。
初めて聞く私には意味か分からない言葉掛けだけど、きっと音駒の人達には分かってる言葉なんだ。
主審をしてくれる音駒のコーチが移動するのを見て、私も急いで自分の立ち位置にスタンバイする。
大きく、深く、深呼吸をする。
ちょっとの緊張が、判断を間違えないように。
ー ピーーーーーッ! ー
直「ではこれより、音駒高校 対 烏野高校の練習試合を始めます!」
「「 よろしくおねがします!! 」」
主審の言葉に続けて、両チームが挨拶を交わす。
烏野のコートは、繋心が言った通りのメンバーが入っていて、青城との練習試合の時みたいに、影山がコートに立っていた。
逆のコートを見れば、クロさんも研磨さんもコートに入っていて、さっきテーブル運びを手伝ってくれた夜久さんがリベロだと言うことに驚いた。
プレーを見るまでもなく分かるのは、夜久さんがみんなとカラーが違うユニフォームを着ているから。
それはうちの西谷先輩と同じで、過去の私とも···同じだから。
レシーブに長けていると言われているチーム内での、リベロと言うポジション。
ベンチにはもう1人リベロが控えてるみたいだけど、3年生だからコートに出てる訳でもなさそう。
ジャッジをしながらじゃデータは取れないけど、今後の為にも···よく見ておかなきゃ。
いつか···大きな場所で戦う相手かも知れないから。
ポケットから出した笛を口に挟みながら、長い1日になりそうだな、と気合いを入れ直した。