第30章 ネコとカラスの対決と···
『え?私が、ですか?』
研磨さんと夜久さん、それから田中先輩に手伝って貰って給水できる場所を作り終えたところに武田先生が来て、私に副審を手伝えませんか?と聞いてきた。
武「えぇ、烏養君がそう伝えて欲しいと」
『またどうして急に?』
中学の部活とかで審判とかは持ち回りでやってたから出来なくはないけど、急に振られた話に少し動揺する。
武「何でも、音駒のコーチが1日審判をして下さるそうで、烏養君が1人じゃ大変だろうからと提案されてましたよ?」
『それが、私、ですか?』
武「はい。メンバーチェンジに関係なく副審が出来る人をって、烏養君が城戸さんにお願いしたいそうです」
繋心め。
自分だって出来るでしょうに。
あ、でも今日はコーチでベンチにいなきゃいけないからって事なのかな?
他の部員じゃコート内で何かあった時に代わりに困るから、とか。
菅原先輩とかは、影山が何かあったらセッターに困るし。
まぁ、影山なら多少指が折れてもコートに立つだろうけど。
『分かりました、お手伝いします』
武「ありがとうございます。僕もちゃんとルールが覚えられるように頑張りますから」
ガッツポーズを見せる先生に笑いながら、みんなの所に行きましようかと言って武田先生と歩き出した。
繋「来たな、ちびっ子」
『だ、誰がちびっ子ですか!』
繋「1人しかいねぇだろ」
『副審···断っても?』
昔の同志に会って妙にご機嫌な繋心の言い草に、ちょっとだけムッとしながら小さな抵抗をする。
繋「拗ねんなよ。ほら、またアレ買ってやっから。イチゴビスケット!」
そ、それを出されたらグゥの音も出ない。
『約束だからね、繋心。イチゴクリームのビスケットのために頑張る···』
菅「そこはせめてオレ達の為に、とか言おうよ紡ちゃん···」
『と、とにかくいろいろ頑張ります!』
月「やっぱり、ポチはお子様」
うるさいよ月島君。
繋「そんじゃ直井、副審はウチの城戸がやるから」
直「宜しくね、城戸さん。そっち側のラインズも含めて頼むよ」
『はい、分かりました。宜しくお願いします』
繋「うっし決まりだな?じゃ、お前ら準備しろ!」
直「黒尾!お前らも用意しろ!」
2人の声掛けでみんながそれぞれ輪になっていく。
いよいよ、練習試合が始まる。