第30章 ネコとカラスの対決と···
私がそう言えば、あぁそうか···とまた小さく呟いて私を見る。
ー 孤爪···研磨。音駒の、2年 ー
『2年?!じゃ、先輩じゃないですか!だったら尚更、孤爪さんにお願いなんて出来ませんよ!』
研「平気。あと、変に敬語とかいらないから···翔陽と同じでいい···」
『翔陽···日向君と?孤爪さんは、日向君とお知り合いですか?』
研「研磨でいいよ。翔陽も···そうだから」
いいよって言われても、先輩だし、そう簡単には···
『じゃあ···研磨さん、で』
さん付けした事に微妙に眉を動かしたけど、呼び捨てにするには抵抗があったから。
研「翔陽は、偶然会った」
偶然?
なんだかよく分からない人だけど、日向君が仲良しなら変な人ではないだろうし。
ー 研磨!こんな所にいたのか···サボってんとクロに怒られるぞ? ー
研「やっくん···サボってない、ちゃんと手伝ってるし」
やっくん?
会話の中の呼び方を考えると、この人は3年生?
『あ、えと!け、研磨さんはテーブル運ぶの手伝ってくれてます!』
庇うわけじゃないけど、私が慌てて言うとその人は笑い出しながらオレは怒ってるんじゃないから!と言った。
研「紡、やっくん」
え?
あ、紹介してくれてる···のかな?!
『すみません!烏野バレー部1年の城戸 紡です!マネージャーしてます!』
夜「なんでフルネーム?オレは3年の夜久です。今日はよろしくね?」
出された手を自分の手を重ねると、そっと握り返して握手を交わす形になった。
『こちらこそ、宜しくお願いします!』
田「あぁっ?!コラそこ!お嬢になにしてる!!」
交わした手をそのままに挨拶をしていると、たまたま通りかかった田中先輩が睨みを聞かせて走り寄る。
夜「お嬢?!」
研「お嬢ちゃん、じゃなくて?」
あぁ···なんかややこしい人が来た···
田「ウチのお嬢に、なんの用ですかコラ?」
さらに目をギラギラさせて、繋がれた手をチョップで打ち切る。
『もう!ホント田中先輩そういうのやめて下さい!大地さんに言いつけますよ!』
研「紡···そっち系の人?」
『そっち系ってなんですか?!』
夜「いやほら、義理人情に厚いとか怖い感じの···とか?」
それって、つまり?
チラチラと田中先輩を見ながら研磨さん達が私をも見る。