第30章 ネコとカラスの対決と···
直「はなっからコーチやってたワケじゃないのか?」
「ったりめーだ!コーチなんざ、今回限りだ!な、先生!」
武「えっ?!あ、はぁ···」
鼻息荒く先生に振れば、何とも噛みきれない返事が返ってくる。
直「どうだか、な?その割りには、アレだ。張り切っちゃってんじゃないのか?」
「うっせー!」
どいつもこいつも、変な解釈しやがって。
直「ま、そういう事なら決まりだな。今日の練習試合の審判、オレがやるかな」
「なんだ、直井が1日審判すんのか?···目ぇカッ開いてちゃんとジャッジしてくれよ?」
直「それこそ、どういう意味だ」
フフンとお互い笑いながら、懐かしい感じのやり取りを交わす。
オレも直井も、なかなかコートに立てない組だったからな。
直「繋心がいるなら、お前も審判···とか思ったけど、ベンチ入ってなきゃなら仕方ないな」
「お前だってコーチだろ!いいのか?ベンチにいなくて」
直「オレは平気、猫又監督がいるからな。さぁて、元気に審判頑張りますかね」
とは言っても、直井ひとりに全ジャッジを頼りっきりっつうのもな。
と、なると?
「おい直井。お前、副審とかいるか?」
グリグリと大袈裟に肩を回す直井に声を掛ける。
直「副審?まぁ、いたらいたで助かるけどな。手前のは自分で見れるけど、主審から遠い所は際どいからな」
ま、そうだろうよ。
本来、審判員は6人いるんだからな。
「んじゃ、直井が主審やってくれるっつうから、コッチからひとり出すわ」
武「ベンチ入りのメンバーからだと、適役なのは···」
オレ達の会話を聞いて、先生がベンチ入りしてるメンバーを思い浮かべている。
「いるだろ?適役なのが。メンバーチェンジに何の問題もない、適役がよ」
武「メンバーチェンジに関係ない···あぁ!なるほど!」
オレの考えを読み取ったのか、先生がウンウン!と言いながら顔を明るくする。
武「では、烏養君はまだお話があるでしょうから僕が事の成り行きを説明しながら呼んで来ますね?」
「おぅ、頼むわ」
では、と軽く直井に会釈をして先生が目的のヤツに向かって歩き出す。
···アイツ、急にそんな事頼んだら怒るかな?
ま、試合に出してやるワケには行かねぇし。
ジャッジする側として参加するなら···喜ぶだろ。
な?