第30章 ネコとカラスの対決と···
~黒尾side~
「芝山、犬岡!荷物置いたらお前達も準備手伝え!山本!!お前もだ!!」
「「 ~ッス!! 」」
オレ達が早く着きすぎたせいで、烏野陣がバタバタしてる。
土地勘ないトコだったし、ここまで来るのに多めに時間取ったのは良かったが···実際は思ったより分かり安い道順だったから予定より随分と早く着いた。
ま、アップ前の軽い準備運動だと思えばなんて事ない。
「コラ研磨!スマホはカバンにしまってこい!」
まったく研磨は、隙あらばコレだ。
澤「あの。なんかすみません、準備が整ってなくて。それに手伝いまで」
目の前に現れた影に顔を上げれば、烏野のキャプテンだろうヤツが申し訳なさそうに頭を掻いている。
「い~や、ゼンゼン構わないって。オレ達が予想外に早く着いちまったから、なんだろ?」
持ち前のスマイルで答えれば、そうだとも、違うとも言わず、曖昧な笑顔で返された。
爽やか過ぎず、丁寧過ぎず···と、言ったところか。
しかしなんだ、この···微妙な違和感。
まるで営業スマイル貼り付けたみたいな感じの、って。
まあ、オレも人の事は言えねぇけど。
澤「···今日は、宜しくお願いします」
「こちらこそ、ヨロシクお願いします」
出された手に自分の手を絡め、握手を交わす。
交わした手から伝わって来る、なんだか変な感じ。
あぁ···なるほどな。
あ、コイツ食えないタイプのヤツだ
そのひと言が、妙にしっくり来る。
まぁ、この感じからして?
コイツもオレに対して同じような事は、思ってんだろうケド?
澤「夕方まで練習試合をお願いさせて貰ってるんで、ドリンクの補給や、途中の休憩とか帰る前とかの軽食はこちらで用意してますので遠慮なくどうぞ」
「へぇ~、それはありがたい。ここに来る途中で買い込もうにもコンビニとか見当たらなかったから聞こうかと思ってたトコだし」
澤「あ~···コンビニはこの辺りには。何かあれば言っていただけたら対応はしますので。すみません、なんせ田舎なもんで」
まぁ、それは確かに。
なんてこっそり思っちまったオレは、若干失礼極まりないかもな。
「あぁ気にしないで下さい。ドリンクやら軽食やら用意までして貰っただけでオレ達は何より感激ですから」
澤「そう言って頂けると助かりま、」
『あ、いた!大地さん!』