第10章 烏野高校男子バレー部
『ご、ゴメンナサイ・・・』
そう言うと影山は鷲掴んでいた手を離し、
影「上出来」
と言いながらニヤリと笑った。
クククッと喉の奥で笑いながら影山は立ち上がると、“ 立てるか? ”と手を差し出した。
私は、ありがとうと言いながらその手を掴むと、そっと引き上げてくれて、また2人で歩き出した。
『影山、ホントごめん』
影「いや、もういい。昨日オレが帰るとき、この辺の防犯灯が何個か切れてたし、確か城戸の家ってもうちょい先だったなって。だから女1人で歩かせんのは危ねーかと思っただけだ。なのに人を変人扱いかよ」
『いや、だからゴメンて』
ケラケラ笑いながら私はまたゴメンと謝る。
『でも、影山だって無言でヒタヒタ歩いてるから悪いんだよ?ホントに怖かったんだからね!』
影「城戸さ、学校での事みたいに威勢よく向かっていくと思えば、さっきみたいに怖がったりとか、何か、ちゃんと女子みたいなところあんだな」
『最初から女子だってば!』
お互い軽く言い合いながら歩いていると、そう時間もかからずに家の前についた。
影「家に入るまで、ここにいてやる。だからさっさと家入れ」
影山の言葉にお礼を言って、私は玄関を開けて中に入る。
『影山。送ってくれてありがとう』
軽くフルフルと手を振り影山に言うと、影山も軽く片手を上げながら、
影「ぉ、おぅ」
と返してくれる。
そんな影山に微笑みながら私は玄関のドアを閉じると、数秒の後、影山が歩き去る音が遠ざかっていくのを感じた。