第29章 ネコと呼ばれる人達
そっか、青城との練習試合の時はユニフォームじゃなかったから。
憧れのユニフォーム貰えた時って、やっぱり嬉しいよね。
澤「そっか、番号までは覚えてないか···」
菅「テレビで1回見たきりだもんな?」
日「えっ?」
澤「小さな巨人が全国出た時の番号、10番だぞ」
澤村先輩の言葉に、日向君が急にキラキラした表情に変わる。
日「コーチの粋な計らいですか?!」
繋「いや、たまたま」
日「じゃあ運命だ!」
影「たまたまだろ」
ホント、嬉しそうだな日向君は···
日「妬むなよ、影山君」
影「なんで俺が妬むんだよ!」
『ちょっと!そこケンカしない!』
全く、あの2人はすぐ小競り合いを始めるんだから。
繋「ちなみに日向の好きな小さな巨人がいた頃が、過去···烏野が1番強かった時期だが、そのころ烏野は音駒に1度も勝っていない。負けっぱなしで終わってる」
烏野が1番強かった頃でさえ、音駒には勝てていないんだ?!
それって、音駒はずっと強かった···って事だよね?
繋「汚名返上してくれっ!」
「「 オーッス! 」」
繋「よーっし!それじゃあ練習再開だ!」
澤「あ、すみません。ちょっとだけ時間下さい」
繋心が掛けた声に、間髪入れずに澤村先輩が声を上げる。
なにか急ぎの連絡事項でもあるのかな?
そんな事を思いながら、澤村先輩を見ていた。
澤「清水、アレ持って来てくれる?せっかくだから、いまにしようかと思って」
清「そうね、分かった」
清水先輩が小走りに去って行くのと同時に3年生メンバーが顔を合わせ、ニコニコしながら私を見ている。
···な、なに?
私なんか変な格好でもしてる?!
慌てて自分の姿を確認しても、ごく普通の···練習着とハーフパンツ姿である以外は特におかしな所は見当たらない。
もしかして、寝癖とか?!
思わず髪を押さえてみるも、そんな感じでもなさそうだし。
ひとりアタフタとしている内に、清水先輩が戻って来た。
清「澤村。これ、頼まれてた物」
澤「うん、ありがとう」
清水先輩から何やら紙袋を受け取り、チラリと中を確認すると澤村先輩が真っ直ぐに私を見た。
澤「みんな、ちょっとコッチに集合!紡は俺の隣に来てくれる?」
『あ···はい、分かりました』
なぜ呼ばれたのかも分からないまま、静々と隣に立った。