第29章 ネコと呼ばれる人達
いよいよ、音駒との練習試合を明日に控えた最後の練習日。
繋心が練習を始める前にみんなを集めた。
繋「音駒戦、スターティングオーダーはこれで行く」
ポジションを置かれた作戦ボードをみんなに向けて、私もそれに目を向けた。
そこには、セッターとしての菅原先輩の名前はなく···それを見た澤村先輩や東峰先輩は、少しだけ硬い表情を見せた。
ただ違うのは。
そこに名前がない菅原先輩だけは、なぜだかスッキリとした顔をしていて。
···私と目が合うと、いつもと同じように笑った。
繋「顔合わせて間もないメンツだし、そうカンタンに息が合うとは思っていねぇ。凄腕のリベロが入ったから、エースが戻ったから···よし勝てるぞ!ってなるワケじゃない。勝つのは繋いだ方···このメンツでどれだけ戦えるのか。カラスの宿敵、ネコとの勝負だ!」
「「 オーーーーッス!! 」」
ゴミ捨て場の決戦。
確かに前に、菅原先輩がそう言っていたのを思い出す。
もちろん、ここ数年は交流がなかったって言ってたから、実際は今の代の烏野自体は戦ったことがないんだけど。
繋心や桜太にぃ達が話していたことを考えれば、レシーブが上手くてとにかくスパイクが決まらない···そういう相手である事は間違いない。
青城とは違う、烏野の苦手となるタイプ···ってことなんだろうな。
桜太にぃが、澤村先輩や西谷先輩みたいなのが全員コートにいる感じだと思えばイメージしやすいって言ってたけど。
···それってかなり、ヤバくない?!
さっき繋心も言ってたように、つい最近顔を合わせたばかりな烏野が、そんな相手とどこまで戦えるのかは未知数。
というより、うまい具合にイメージが浮かばないという方が正しいのかな?
これはきっと、明日の練習試合でいろいろなデータを記録しておく必要があるよね?
私も、ちゃんとしたマネージャーとしての初めての大仕事になりそう···かな?
カラーコートを目指す以上は、いつどこで対戦することになってもいいように、しっかり仕事しなきゃ!
小さなガッツポーズを携え、私は私なりに気合を入れてみた。
全ては···明日の練習試合から始まるんだ。
そう思うと、わくわくする気持ちさえ湧いて来るのが分かった。