第10章 烏野高校男子バレー部
ツッキーと呼ばれる人は、私と目が合ったままニヤリとして、フッと鼻で笑う。
ツ「ごめ~ん、小さ過ぎて何言ってるのかよく聞こえな~い」
山「ツッキーやめなよっ、相手は女の子じゃんっ」
ツ「はぁ?」
山「・・・ごめんツッキー・・・」
対峙する私達を見て、なぜかオドオドし始める山口くんをチラリと見て、クルリと踵を返す。
ツ「土曜日、楽しみだね・・・。行くよ、山口」
2人は私達に背中を見せながら、少しずつ見えなくなって行った。
かぁぁぁぁ!
ほんっとに腹立つ物言いだった。
私は大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
影「おい」
背後から影山に呼ばれ、振り返る。
影「お前、ああいうのやめとけ。一応、女子なんだからな」
『でも!私が何を言われても平気だけど、一生懸命な人をバカにするのは許せないよ!』
影「別に何て言われようと関係ない。勝つのは俺達だ」
あぁ、なんか・・・
こっちはこっちで軽く腹立つなぁ、もぅ。
その後すぐに暗くなってしまったから、3人で帰り支度をして学校を出た。
日向君は自転車通学だし、帰る方向も私達とは違うから途中で別れ、そこからは影山と2人で肩を並べて歩く。
影山とは同じ中学だったし、お互いの家も、そう離れているじゃないから、帰り道は途中まで同じになる。
だからこそ、さっきの2人組とのやり取りから無言のまま歩かれると、凄く気まずい。
かと言えば、信号で立ち止まる度にうっかり目を閉じてしまいそうになる私に、そのたびに、
影「おい、寝てんじゃねぇ」
と、一言だけ声をかけてくれたりはする。
なんかいろいろ考えてんだろうな・・・
眉間に深ーいシワ寄せてるし。
まぁ、いずれにしても、すぐそこの曲がり角でお互いの家への分かれ道だし、無言の歩行も終わる。
そうして歩いている内に、その分かれ道に着いてしまう。
『じゃ、影山、また明日ね』
影「あぁ?・・・」
影山は何かポソッと言ったけど、私は軽く声をかけて、自宅がある方へ歩き出した。
・・・・・・・・・・・・あれ?
数メートルほど歩くと、背後から一定の距離で着いてくる足音がする。
・・・立ち止まると、その足音も立ち止まる。
少し早足で歩いてみる。
また、着いてくる。
え?
なに?
・・・怖い・・・。