第10章 烏野高校男子バレー部
日向君は咄嗟に両手を伸ばしボールを取ろうとした。
・・・ポスっ。
ボールは日向君が掴む前に誰かの手に渡り、そのまま落ちない。
誰?
長身の影が・・・2人分?
「こんな所で練習?」
誰かが言葉を発する。
「君たちデショ、バレー部の体育館出禁になってる1年って」
その言葉に反応し、影山がギラりと見る。
日向君は振り返り、今まさに自分が取ろうとしたボールを手にしている相手を見上げる。
日「うおぉっ!身長高ぇー、何センチだ?!」
必然的に見上げる形になる日向君は、その相手に叫ぶ。
「ツッキーはね!188センチあるんだよ!もうすぐ190!」
「山口、うるさい」
なぜか日向君に聞かれた本人ではなく、隣にいるもう1人が嬉嬉として答えた。
あの人は“ 山口くん ”っていうのか。
そしてこっちは“ ツッキー ”
まぁ後者はニックネームなんだろうけど、とりあえず2人の名称は分かった。
ツッキーと呼ばれる人は、なかなかの皮肉屋な用で、影山が北川第一でコート上の王様と呼ばれていた人物だと分かると、それをネタに皮肉を言い続け、更には日向君を、そこの小さいの、などと呼ぶ。
少し離れた場所にいた私にさえ、会話の端に失礼極まりない言葉が聞こえてくる。
そして、私が何よりカンに障ったのは、ツッキーと呼ばれる人が放った、このひと言・・・
【 ワザトマケテアゲヨウカ? 】
このひと言に、私は思わず手にしていたタオルを投げ捨て、言葉を放った相手の前に立つ。
影山がそんな私を見て
影「おい、やめとけ」
と声をかけたけど、そんなの聞こえないふりをした。
『ちょっと!さっきから聞いてたけど失礼極まりないんじゃない!?』
ツ「あれぇ?もう1人いたんだ?へぇ?よく見れば女子じゃん?小さくて全然気が付かなかったぁ」
ニヤリと笑いながら私を見て、その後で更に日向君を見る。
ツ「こっちも小さいと思ったケド、キミは更に小さいね?ん?小学生がこんな時間まで外にいるとアブナイよ?」
いくら皮肉られても、私は別に動じない。
『小さいからって、何?私から見れば、あなたの方が単に体が大きいだけで何も出来ないように見える。口先で皮肉やイヤミを吐いて、他人を近寄らせない壁を作ってる。違う?』
私は真っ直ぐ目を合わせたまま反撃に出る。
こんなやつに絶対負けない。