第10章 烏野高校男子バレー部
日「スゲェ!城戸さんカッコイイ!!」
菅「紡ちゃん・・・ボールはネットにやられたけど、フォームキレイだったよ・・・」
田「そぅッスよね・・・オレはアンタの背後に大地さんの姿が重なって見えたッス!」
『何ですかそれは、失敗したのに褒めないでくださいよ』
私は影山のサーブを受けた場所をさすりながら、じゃ、次は日向君ね?と声をかけて立ち位置を下がる。
すると、菅原先輩が眉間にシワを寄せながらスッと近づいてきた。
菅「紡ちゃん、ちょっと手を見せて」
私は言われるままに両手を差し出す。
菅「あー!やっぱり!真っ赤になってんじゃん!田中~、ちょっと日向の相手頼む~!」
『こんなのどうってことな・・・』
菅「影山~!お前女の子相手に加減とかないワケ~?」
菅原先輩が影山に言うと、影山はスッとこちらを見た。
影「多少はしたッス。でも、それ以上の加減したら、城戸が怒ります」
『菅原先輩、影山の言う通りですよ?女子の試合でも、多分あれくらいのは飛んできます。それに、影山が本気で打って来たら私の腕もげちゃうんで』
笑いながら言うと、菅原先輩は諦めたのか救急箱から冷却スプレーを取り出し腕にかける。
菅「紡ちゃんはそう言うけどさ、やっぱ男子と女子じゃ力の差は大きいからさ。ま、程々にってとこで」
冷却スプレーで応急処置が終わると、菅原先輩はまた日向君にボールを上げに行った。
私は今いる場所から日向君の様子を見ては、
『腰落として!』
『ヒザも使って!』
『脇開かない!』
『腕だけでボールを運ばない!』
なんていう風に、その都度声をかけながら練習のお手伝いをしていた。
そんな朝の秘密特訓の時間はあっという間で、バタバタと体育館を使った痕跡を消してから私達1年組は体育館を後にした。