第10章 烏野高校男子バレー部
菅「あぁ~、まぁ~、あはは・・・」
と、苦笑いをしながら曖昧な返事を返した。
日「そうだったのか・・・」
ションボリした日向君に、ま、ちょっと見ててよ?と声をかけ、私は菅原先輩を見た。
『菅原先輩、私にボールお願いします』
片手を振ると、うんうんとうなづいて菅原先輩が柔らかめにボール打つ。
私はボールの軌道を確認すると、スッと動いてレシーブで返す。
すると、いい感じにボールが菅原先輩の手元にポスっと返る。
『どう?こんな感じかな?』
日向君を振り返ると、キラッキラの顔で
日「すごい!城戸さんすごいよっ!菅原先輩いま1歩も動いてなかった!」
興奮気味に凄い凄いと連発している日向君に対して、私はちょっとだけお灸を据えてみることにした。
『あのね日向君!今のは菅原先輩が私に柔らかいボールを打ってくれたから出来た事!本番の試合で、しかも敵チームからあんなフンワリ柔らかなボールなんて来ないでしょ!ホントに上達したかったら、いつまでもフンワリボールなんてレシーブしてちゃ上手くならないんだからねっ!』
少し強めに言いすぎたのか、またもションボリ顔になる。
はぁ・・・と大袈裟にため息をついて見せて、反対側のコートを見るとこちらの様子を見ていた影山と視線が合った。
その手があったか・・・。
『日向君、もう1回やって見るから、ちゃーんと見ててよ?フンワリボールじゃないボール、レシーブして見るから。・・・上手くいくかは分からないけどね?』
そう日向君に言って、もう1度反対側のコートを見る。
『おーい!影山!』
片手を振ると、それだけでこっちの状況を理解したのか、影山はサーブを打ち込んでくる。
私は影山の手を離れたボールの軌道を一瞬見て、レシーブする。
“ ・・・バシッッッッ!!! ”
レシーブしたボールは、さっきのとは違い早く、そしてもの凄く重かった。
そのせいもあって、菅原先輩の手元に戻ることなくネットに引っかかる形でコートに落ちる。
『あちゃ~、やっちゃったか』
失敗、失敗って思いながら日向君を振り返る。
『失敗しちゃったけど、ボールの威力的には試合してたらこんなもんでしょ』
そう言って周りを見ると、涼しい顔した影山以外の3人は口をパクパクさせて私を見ていた。
『なん・・・ですか?なんか変でした?』
3人の様子に戸惑う。