第10章 烏野高校男子バレー部
菅原先輩は私をそっと振り返り、背中を押す。
菅「さ、どうぞ?」
私が菅原先輩の後ろから姿を表すと、3人同時に目を見開いた。
影「城戸?」
日「城戸さん?!」
田「スガさんの抱きしめ女子?!?!」
菅「だぁぁぁ!田中!その話はほじり出さなくていいから!」
菅原先輩と田中先輩のやり取りを見て笑っていると、影山が側に来て私を見る。
影「お前、どういう事だ?」
『さぁ?』
影「なんだそれ?なんかムカつく、お子様のクセに」
日「城戸さん!レシーブ教えて?!ねぇねぇ?!」
『もちろん!そのつもりで来たんだしね?』
日「・・・!ホント?!」
『うん!でもね、ここにいる誰よりも、もちろんそこの王様よりも手厳しいかも知れないよ?』
影「あぁ?!王様って呼ぶなっつってんだろが!」
日向君はチラッと影山を振り返り、ゲンナリする。
『だから、私にあんなにあんなにあんなにお願い攻撃したこと、後悔しないでね?』
ニヤリと笑って日向君を見た。
日「お、おぅ・・・」
ゲンナリ顔のままで、しょんぼり気味な返事を返してくる。
そんな日向君を笑いながら、私はパンッと手を叩き日向君の気分を元に戻す。
『さ、時間は無限じゃないんだよ?!さっそく始めましょ!』
そう声をかけると、日向君はいつもの元気な顔に戻り
日「菅原先輩!ボール!ボール下さ~い!」
なんて両手を構えている。
私は何度か菅原先輩が放るボールをレシーブする日向君を見て、改善しなければ行けないところが満載だなと苦笑した。
5分程その様子を見てから、菅原先輩に手を上げて合図をし、ボールが止まったのを確認してから日向君の隣に並ぶ。
『日向君、ちょっといいかな?』
日向君は私に向き直り、
日「どこを直したらいいか教えて、先生!」
なんて、超真面目な顔で返す。
『先生はやめてよ、先生は。いまちょっとだけ見てたんだけどね、まず日向君は腕だけでボールを返しすぎ。ボールが飛んできたからっていって、単に腕を振るだけではダメかな?って思った』
日「え?でも、今のところ、菅原先輩にちゃんとボールは返ってない?」
『それはね、菅原先輩が日向君がレシーブして戻ってくるボールの位置に動いているだけ』
日「そうなんですか?菅原先輩?」
私と日向君が同時に菅原先輩を見ると、反応に困ったのか